5年前に発売された、当時4万円以上したコンパクトデジタルカメラを中古4000円で購入して、色々撮ってRAW現像してみた。

DMC-FX150 testshot
神田明神境内からの撮影、小型三脚を使ってマニュアル撮影してます。Lightroom5.3で現像。
 
愛用していたSONYのDSC-W300*1が不調になってしまった*2ので、
「記録メモ代わりになる、そして面白そうなコンデジ」を探してたのですが、
なかなか代わりになりそうないいカメラが見つからず
…とりあえずの繋ぎとして、中古のコンデジを購入しました。
  

http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2008/08/25/9061.html
【新製品レビュー】パナソニックLUMIX DMC-FX150」:デジカメwatch
 
購入したのは、パナソニックLUMIX DMC-FX150。
5年前発売された頃の店頭実勢価格は45000円強。
コンパクトデジタルカメラとしては「ちょっと上の画質」を求める人向けの商品でしたが、
5年後にわたしが中古で買ったときの購入価格は、本体と充電池のみで4000円。当時の1/10以下の価格です。
デジタル製品の価格下落はものすごいですね…。
 
購入の決め手になったのは「ライカ判で広角28mm相当の画角」と「RAWファイルでの記録」が可能だったこと、
そして、過去に使っていた「GR digital」と同じ電池・充電器が使えたことです。
(パナソニックコンデジは何故か今まで縁が無かったので、一度チャレンジしたかったのもあります。)
  
購入から数日間、いろいろと試し撮りしてみました。
撮影にはトランセンドの16GBの高速SDカードを使いRAWで撮影して、
帰宅後にlightroom5.3で現像した後で色々いじってます。

DMC-FX150 testshot
元写真はワイド28mm辺りの画角で撮影、
ワイド側に余裕があると、撮影後の現像でトリミングや傾き補正ができるのは、かなり便利ですね。
素数が1470万画素とかなり多いのは後処理で有利です。
DMC-FX150 testshot
16:9の比率での撮影。
ばっさり上下を切るトリミングをおこなっていても、1000万画素を超えています。
個人的には、当時のパナソニックコンデジは、横にワイドな写真の印象が強いです。
 
DMC-FX150 testshot
中心部の描写性能は、なかなか。
こういう撮影だと、本来はもう一段絞って周辺部まできっちり撮りたいところですが…
DMC-FX150の絞りは、絞り開放か、あるいはNDフィルターを差し込みつつほんのすこしだけ絞るかの2択のみ。
この辺が、当時のコンデジの作りだなぁと感じます。
 
DMC-FX150 testshot
ISO感度100相当(感度オート)、1/800秒、f4.2。
絞りを開いた状態でのシャッタースピードは最速1/1300秒。絞りを差し込んだ状態では最速1/2000秒。
昼間の屋外はワイド側で撮影していると、シャッター速度はかなり速くなり、
限界を超えると先述の絞り兼NDフィルターが差し込まれてガクッとシャッター速度が落ちます。
もう一段、中間辺りの絞りがあるとかなり使いやすくなるんですけどね。

DMC-FX150 testshot
マクロ撮影での背景のボケ具合は、こんな感じです。
DMC-FX150、当時のコンデジの常で、フォーカスする位置の任意設定に一手間かかります。
当時発売されていた上位機種「DMC-LX3」にはジョイスティックが付いているので
こちらの方が操作周りはかなり色々使い勝手がいいのかもしれません。
 
 マクロでの花撮りに地味に便利だったが「追っかけフォーカス機能」。
一度合焦したあとでちょっとだけ構図をずらしたりするときにフォーカスが「食いついて」くれます。
動くものの撮影に使うにはちょっと弱さを感じたのですが、動かないものを撮るときはかなり使えました。
 
 
Sanae Jyounouchi "Shirasagi no Yado" AD truck in Akihabara : DMC-FX150 testshot (fixed with lightroom5.3)
RAW撮影したファイルをlightroom5.3で色々いじって出力。
黒を締めてコントラストを上げて、肌色の白さを少し持ち上げてます。元画像はこちら
逆光だとハレ気味になっているのは、ひょっとするとレンズやレンズコーティングの経年劣化かもしれません。

白鷺の宿/ランタンまつり

白鷺の宿/ランタンまつり

 
Satomi Satou "Mirai Night" AD truck in Akihabara : DMC-FX150 testshot
ミライナイト(初回限定盤)

ミライナイト(初回限定盤)

RAW撮影したファイルをlightroom5.3でかなり明るめに補正、アドトラックを部分的にブラシ補正。
jpegのオートで出てくる画質は、まぁそれなりでした。見れないほど悪くはないけれど…やっぱり補正したくなる。
 
今時のコンデジ
「色々いじるよりも、フルオート撮って出しが、やっぱりいちばん見た目が良い」結果になることが多いです。
コンデジ撮影でRAW現像処理、結構大変です。現像とか煩わしいことをしたくなければオート撮影が優秀な新しい機種がいいかも。
 
DMC-FX150 testshot
柳森神社で撮影。*3
RAW現像するときに、杓子にあたる光のハイライトをかなり強引に押さえつけました。
今時のコンパクトカメラならおそらくオートで「HDR撮影」を使う場面だと思います。
 
DMC-FX150 testshot
CCD機のメリットのひとつは、低感度撮影での「色乗り」の良さ。
特に、撮って出しレベルでは、CMOS機と色の発色に差が出てきます。
ISO感度100〜200相当で撮影できる場面では、ホワイトバランスが適切ならかなり良い感じで撮影できました。
 
DMC-FX150 testshot
その一方で、感度400相当から上は…正直、いろいろな部分がしんどいです。
RAW撮りでみっちりノイズ処理をかけるなら感度400で我慢、画質をガクッと落としてもいいのなら感度800…が使えるかなぁ…(不安気に)。
DMC-FX150はプログラムモードでISO感度の上限とシャッター速度の下限が設定できます。
手ぶれ補正がなかなか優秀なので、低速シャッターを上手く使うことが使いこなしのポイントです。
 
DMC-FX150 testshot
感度400相当辺りが使いづらいことは、冬の夕暮れ時の撮影にはかなり不利です。
パナソニックのコンパクトカメラは手ぶれ補正が優秀なのですが、
被写体ブレをうまく止めるには明るいレンズと高感度が必要です。
この写真だと、ビルなどはそれなりに止まっていますが、歩行者はかなり被写体ブレしています。
 
"SOUL SACRIFICE DELTA" billboard at Sofmap Amusement bld. in Akihabara
一方、低感度で長時間露光をしたときにはかなり頑張ってくれました。
感度100相当、5秒露光(三脚使用)。lightroom5.3でみっちり処理。
コンパクトデジカメでこれだけ写れば、満足です。
 
予想以上に面白かったのが、撮影後のRAWデータの白黒処理加工。
コンデジjpeg撮影した画像からだとなかなか難しい後処理ですが、
RAWデータがあればlightroomのプリセットでかなり楽しめます。
DMC-FX150 testshot
RAWデータをLightroom5.3で現像、プリセットのブルーコントラスト(高)フィルター使用。
DMC-FX150 testshot (fixed picture)
RAWデータをLightroom5.3で現像、プリセットのグリーンフィルターで白黒処理したあと、水面をブラシ補正。
 
コンパクトなデジタルカメラのRAWデータの白黒フィルター処理は、ちょっと遊ぶときには色々相性が良いみたいです。
本来の白黒フィルムのような広いラチチュードはないので、焼きこみや多い焼きを多用することはできませんが、
「それっぽい雰囲気」を出すのが主なら、これはこれで色々面白いです。
 
今回のDMC-FX150でテスト撮影した画像はこちらにまとめています。
http://www.flickr.com/photos/workshop/sets/72157641536460853/
DMC-FX150 testshot. - a set on Flick
 
 
率直な感想ですが…
5年前のコンパクトデジタルカメラを、中古で購入して使うのは…正直厳しかったです。
昔高かった機種が、今とても安くなっているからといって飛びつくのは、お薦めできません。
 
実際に5年前のコンデジを新しく買ってみてわかった問題点は、
・年式が経ってる中古機種は、レンズ周りやCCDなど各部が経年劣化していて不意の故障がおこりそうで不安。
付属の充電池がかなり劣化して撮影枚数が減っているので、旅行などでいっぱい撮るときは予備電池を買い足す必要がある
・フルオート撮影では今のコンパクトデジカメに比べて、時々撮影にコツが必要になる。
・RAW現像できれば画質がグッと良くなる機種でも限界があるし、メモ代わりの撮影なら撮って出しjpegが優秀なほうが楽でいい。
などなど。
 
昔のコンデジでも今のコンデジでも「頑張れば、撮れる」写真は結構多いです。
ですが…そういう場面で5年前当時のコンデジを使って上手く撮るには「かなり頑張る」必要があって、
これがもう少し年式が新しくなると、高感度が使いやすくオート撮影や諸機能が良くなってるので、
「ほんの少し頑張る」だけで色々な場面が撮れるようになったことが多いです。
 
使い込んでいると、DMC-FX150には古いコンデジならではの面白い要素もあったのですが、
普通の人はあまり頑張らなくてすむ、気苦労しないカメラの方がお薦めですよ。
いろいろ普通じゃない人なら…まぁ引き止めはしません。労の割には益が少ないですが…。
 
 
 
今、安くそれなりに使える画質のコンパクトデジカメを買い足すなら、
市場価格がかなり下がっている「2年前くらいの中古のコンデジ」を買うか、
あるいはAmazonなどを探して、新品でも実売2万円強程度の優れたコンデジを狙い撃つのが良いと思います。
…中堅どころのコンパクトカメラは、機種によっては安くてもいい画質の機種も多いのですよ…
 http://wivern.exblog.jp/20296108/
Nikon】最強のスナップ用コンデジだと思ってたらホントに最強だった【P330】 : 超音速備忘録
Nikon COOLPIX P330
少し大きくて、諸動作にもっさり感があり、セミオートでの操作性は癖がある(婉曲表現)機種ですが、
フルオートで撮る写真の仕上がりはかなり優秀です。
CP+で後継機が発表されたので、安く買うなら今がお薦めです。
 Canon PowerShot S200。
今時CCD機種なのか(汗)と突っ込まれるところもあるのですが、
とてもコンパクトで使いやすく、写真の仕上がりはフルオートでもかなり優秀でした。
名機PowerShot S95と違いRAW撮りはできないことにご注意ください。

*1:参考:SONYコンデジDSC-W300購入して撮り始めてます…う〜む、これは当たるとすごいが、なかなか一筋縄ではいかないカメラだ。 - workshop PCエンジンおしゃれ計画 http://d.hatena.ne.jp/workshop/20120509/p2

*2:CCDにゴミが乗ってしまった

*3:この場所のこの構図、明暗差が激しく出る場所なので、よくテスト撮りに使ってます。