「web写真界隈」という現象と、そのことばについて

 過去に掲示板に書いた文章をちょっとブラッシュアップしてみたけど、
なかなかうまくいかないので(爆死)、
書きかけのままですけどupしてみます。
 

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 「web写真界隈」というのは、確かに上手い言葉だとは思いますが、
なんか不思議な言葉です。場所っぽくないんですよ。
ある一連の"現象"を示してるのに"界隈"ってのが不思議。
 
 界隈というのは、(シャレで付けられた言葉のようですけど)、
例えば「新宿界隈」「秋葉原界隈」など特定の場所を示す言葉なんですが、
場所性が薄いものに、一旦「界隈」と名付けてしまうと、
場所を限定する故に色々な誤解を生じる危険があります。
webというか、サーバースペースの利点のひとつが
地理的な距離をある程度すっ飛ばせるということを考えると

 最悪な事例だと、例えば死語になってしまった
「文壇界隈」「論壇界隈」みたくなってしまう危惧もあるんじゃないかなぁw。
ただ、「はてな界隈」ってのは、関連ワードでなんとなくあると思うんだけど。
 
 けど、かなり気になる言葉ではあるんですよ、「web写真界隈」。
web写真界隈」という言葉に代表されるような、
写真にまつわる相当ユニークが現象が起こりそうな場所が、
日本の中の、それも特定の地域以外では
なんとなく思い当たらないのは面白いことです。
っていうか、海外でもこういう類似現象があったら是非色々と見てみたい。
 
 「web写真」的な独特のテイストを"ある程度"含む
一連の写真群(写真ではなく、写真群なのがポイント)が
web上の特定場所に出てきた、この一連の現象が、
組織だった特定の作り手集団やカメラ(広告)業界になどによって
グイグイと引っ張っていかれたのではなく、
色々な人が微妙に色々繋がりながら
同時多発的に沸き起こってきたっぽい気配があることは
率直に面白いです。
 


Webというのは本来は物理的な場所を持っていないが、
そのような視線の交錯がなされおのずと人が集まっていく様は、
やはりひとつの「場所」としか呼びようのないものである。
それはたとえば
Yahooなどのカテゴリーによる分類のようなはっきりとしたリンク集でもないし、
mixiのような明確に閉ざされた内輪のコミュニティでもない。
そこに行くと誰かしら知り合いに出くわす、さほど広くはない通り抜け自由な通り、
すなわち「界隈」のようなものとして
写真サイトを見ることができるのではないだろうか。

http://dc.watch.impress.co.jp/cda/webphoto/2006/04/06/3585.html
Web写真界隈:第1回 内原恭彦Web写真界隈とは何か?」

 で、この「web写真界隈」的なテイストを持つ写真群が
web上に色々と出てくる現象ってのは、なんとなくだけど、
特定の「人」だけをチェックすることだけでは
うまく考察できないんじゃないかなぁという気がします。
主要な人を考察のポイントにするにすることは可能だけれど、
どういう諸要因がその現象を支えているのかということを
もっと色々攻めていく方がいいんじゃないかなぁ…と。
例えば、
経済的要因(web配信コストのチープ革命)だったり、
地理的要因(大都市と郊外と田舎の光景(いわゆる景勝地ではない場所))、
機材の共通性(妙に重なっているらしい)、
教育(なぜかみんなはてな日記にblog持ってる)とか、
お金に結びつきそうもない写真が妙に多いwとか。


shin1ro
 リコーのGR DIGITALが人気で、
そのユーザーたちによる一種のカルチャーのようなものがありますが、
Web写真界隈的でよく使われているカメラってありますか?
 
uzi 
 実際のシェアに比べるとD70が多い印象はあるかも。
ぼくはD100だけど、ここにいる3人をはじめ、
界隈の人が顔合わすと多くの人がD70を首から下げて、
しかも三脚に取り付けるためのクイックシューをつけっ放しのとこまで同じで、
なんか笑っちゃいました。
 
M_orochi
 ぼくがD70買ったのは、単純に価格的な理由でした。

tmkr
 ぼくはバイト先をいきなりクビになってしまい、
予告なしの解雇は不当だと訴えて支払ってもらった
1カ月分のバイト代でD70を買いました。
 
uzi
 taffyはギター売ってD70買ったんだよね。
やっぱり価格って重要な購入基準だから、
おのずとD70がWeb写真界隈でシェアを得るっていうのは面白いと思いますね。
これしか買えるカメラがなかったからこれにした、っていうので良いと思うんですよ。

http://dc.watch.impress.co.jp/cda/webphoto/2006/06/01/3905.html
web写真界隈:第8回
徳増憲太郎 / 森川智之
(前編)
ネット上でのこれらの反応自体が「Web写真界隈」だっていう気がする

 

内原:
この連載のタイトルでもある「Web写真界隈」という言葉は、
ひとつひとつのサイトはさておき、
非常に多数の写真サイトの総体が持つ、
テイストというか時代的な雰囲気のようなものがあるのではないか、
ということなんですね。
かならずしも全部の写真サイトを見なくとも感じ取られるような、
今の写真サイトの特徴みたいなものはありませんか?
 
大西:
うーん……みんな字が小さいね(笑) なんでどれもこれも字が小さいんだろう?
見た目のデザインに凝っているんだろうけど、読みづらいだけだよ。
ただ、若い人と場を共有したい気持はありますよ。
昔から金にもならないのにダラダラと写真をやっている感じは
嫌いじゃないので、そういった雰囲気がWebにあるのはいい事だと思う。

http://dc.watch.impress.co.jp/cda/webphoto/2006/05/11/3769.html
web写真界隈:
第5回 大西みつぐ「下町というボーダー(境界)の無い場所に生まれ育って」

 この辺り、もう少し批評家が色々と頑張って、
ぶっ飛んで冴えてる批評をして欲しいところです。
 
 特に、機材に関しては、ある程度顕著な特徴が出そうな気がします。
 NikonCanonのかなり高性能で(そこそこ)低価格な
デジタル一眼レフカメラと「特定の傾向を持つレンズ」の普及と、
写真(カメラ)「雑誌」の誌上写真コンテストの傾向とか、
写真雑誌における「カメラ作例」の役割ってのが
なんとなく考察のポイントになりそうな気がしていて*1
ぶっちゃけ自分がデジ一眼レフを扱ってないので、その辺りの子細はわからないです。
 

空吊り縄

 

*1:今回夏コミで出す、EX-S20同人誌がネタにしようとしているのテーマのひとつがそういう所なんで、自然とそこに関心が行ってるのかもしれません。