キヤノンの新しい超広角ズームレンズ「EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM 」を買って1週間いろいろ撮ってみた。

Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
神田明神。ピントは手前の花に合わせてます。
 
http://cweb.canon.jp/ef/lineup/ef-s/ef-s10-18-f4.5-5.6-is-stm/
キヤノン:EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM|概要

2014年5月末に発売された、キヤノンAPS-Cサイズ向けの新しい超広角ズームレンズ
「EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM 」を購入ました。
7月1日時点でのレンズの導入価格は35000円程度(そして、専用フード「EW-73C」が2500円)と、
超広角ズームレンズとしてはかなり安く、おサイフにも優しい価格でした。
 
手持ちのEOS KISS X2につけて、1週間ほど色々撮影してみて、気づいた点などを書いておきます。
撮影画像はほぼすべてRAW撮りしたあとで、lightroom5.5で現像、レタッチして、気になる所々を部分的に補正しています。

 
 
Akihabara UDX : Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
超広角レンズを買ったら、とりあえず一度は撮りたくなるのが、こういう高いビルを下から見上げる構図。
10mmスタート(ライカ判換算で16mmの画角)のズームレンズだから、横位置撮影でもビルの上までが収まりました。
広角側では気持ちタル型になってますが、この価格の超広角ズームレンズとしては優秀な描写です。
 
NEW "Radio Kaikan (Radio hall)" is ready to open.
もうひとつ高いビルを下から見上げて撮影。新しいラジオ会館(7月20日オープン予定)。
lightroom5.5での現像時に気持ちほど歪曲補正と傾きの補正をかけて、最後に周辺減光を足してみました。
現場で三脚を据えてから、撮影終了までの所用時間は3分程度。
トワイライト時、人通りが多い秋葉原駅前の撮影でした。
 
Shibuya scramble crossing : Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
超ワイドの定番撮影スポット、渋谷スクランブル交差点。三脚に据えたカメラを頭上に掲げての撮影。
超広角ズームの割にとても軽いレンズなので、こういう芸当も気軽に楽しめます。
 
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM の重さは240g。
とても軽く、そして画角の割にかなりコンパクト。
見た目やさわり心地は「キスデジ付属のキットレンズ」のような印象です。
安っぽいというよりは、「見事に安い(値段相応)」の質感。
レンズマウントもプラスチック製ですが…その分小型軽量化してるので仕方ないかな。
 
 
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM、全体的に歪曲収差が極めて少ないです、
レンズのテレ側(…テレ側とはいっても15mm以上)をうまく使いこなせば、
「一見ありふれた街のスナップショット、だけどなぜか少しだけ広がりのある画角」の写真も狙えます。 
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
銀座(元画像の下側をばっさりトリミングしています。)
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
渋谷(若干回転補正をかけています)
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
須田町の「竹むら」(若干回転・傾き補正をかけてます)。こういう写真を撮るのに、超広角が重宝します。
 
 

EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM は、かなり寄れる超広角ズームレンズです。
おおざっぱに言って、レンズ先端から10cmくらい先までピントがきます。
あまりに寄れるので、ファインダーを見ながら撮影するときは、被写体をレンズに当てないようかなりの注意が必要です。
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
 
Nikon D810  (Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot)
 
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
http://1kuji.bpnavi.jp/item/853/
一番くじ | 一番くじV ご注文はうさぎですか?
 
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
 
Matsuya "Premium Gyudon (beef bowl)"
(松屋のプレミアム牛丼の写真は、撮影後にlightroom5.5で大きめの傾き補正をかけてます。)
SNSやblogなどにupする写真を撮るときには、近接撮影がしやすいのはかなり大きな利点です。
スマホのカメラ機能だと画角に収まりきらないテーブルフォトも、このレンズなら結構なんとかなります。
 
近接撮影で思い出しました。
STM(ステッピングモーター)のフォーカスがとても静かなのも、このレンズの特徴のひとつです。
最新のCANON一眼レフカメラボディの「静音撮影」機能を併用すれば
動きのおとなしい乳幼児や小動物(例えば眠ってる小型犬や猫)をぐっと寄って撮るとき
STMレンズならではの静かなフォーカシングが効果を発揮します。
 
 
 
狭い室内の概観をざっとおさえる撮影、これも、EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM が得意とする場面のひとつです。
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
秋葉原「ラジオガァデン画廊」。
http://blog.goo.ne.jp/ko-shun-do/e/751d968e954d7acb0492ac41eeb9a45c
ラジオガァデン画廊オープンします。 - 二胡工房 光舜堂 
 

超広角での撮影と画像のパノラマ合成(ステッチング)をうまく組み合わせると、高画質かつ広範囲の撮影が容易にできます。
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
http://www.anibro.jp/museum/index_akame.html
アカメが斬る!」アニメ放送記念ミュージアムゲーマーズ特設サイト
手持ち撮影した5枚の写真をMicrosoftICEで合成しました、手持ち撮影でこれだけ繋がります。
 
"All You Need Is Kill (Edge of Tomorrow)" AD poster in Shinjuku METRO station. (small sized ver.)
東京メトロ新宿駅地下通路に掲示された「All you need is Kill」の巨大宣伝ポスター。PhotoshopCC2014でパノラマ合成

All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックス)

All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックス)

All You Need Is Kill 2 (ジャンプコミックス)

All You Need Is Kill 2 (ジャンプコミックス)

横長のポスターに沿って平行移動しながら撮影した3枚の写真をパノラマ合成。
今までは超広角レンズを持っていなかったので同じ撮影をするときは8枚〜10枚の撮影画像をパノラマ合成していました。
撮影枚数が半分になったことで、撮影も後合成もとても気楽にできるようになりました。
 
 
夕暮れ時の手持ち撮影で効果を発揮するのが、手ぶれ補正。
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
秋葉原UDX前を撮影、1/15秒、ISO400、f10(少し絞りすぎました)。
シャッター速度を落としたことで、歩行者の動きがうまい具合に流れています。
Robot Restaurant AD :  Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
秋葉原中央通り、ロボットレストランの宣伝着ぐるみ。
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STMの手ぶれ補正は、カメラの動きを判断して自動で流し撮りを検知して対応してくれます。
この写真でも、うまく「ロボットだけを流し撮り」することができました。
 
超広角での風景撮影は…少しだけ気になる部分が。
KissX2ボディの位相差AFセンサー性能の限界なのか、超広角での遠景の無限遠が微妙にきていない気がします。
Yasukuni Shrine
靖国神社。縦位置撮影した写真の下部をばっさりとトリミング。
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
聖橋の上から撮影。この撮影では、フォーカスをライブビューで合わせ直して撮影しました。
 
 
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STMとEOS KISS X2の組み合わせで、
例えば室内壁面などコントラストが薄く少し暗い被写体を撮影していると
周辺部のAFセンサーが測距できずに迷うことがしばしばありました。
このあたり最新型のボディや上級機だとAFセンサーの特性が改善されているのかもしれません。
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot 
また、画角の周辺部でのフォーカシングも、ファインダー越しだとかなり難易度が高くなります。
もしも撮影時にフォーカシングで少しでも迷いを感じたら、
積極的にライブビュー撮影に切り替えてライブビューでピントをあわせて撮るのがいいかと思います。
 
 
 
Canon EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM testshot
EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM、
価格の割にはものすごくよく写る、そして実用性が高い超広角ズームレンズです。
キスデジ用の超広角ズームの入門・実用撮影レンズとしては素晴らしい価格性能比で、
見事に超広角撮影入り口の「撒き餌レンズ」になってます。
  
数少ない弱点としては、アウトフォーカス部の描写が(まぁ値段相応に)少し弱いことと、
太陽光などを入れた強い逆光撮影で露出やハイライトの補正がしっかり必要なこと。
撮影時にこの点を頭の片隅に意識しておけば、お値段以上の仕事はしっかりしてくれます。
 
 
 ひとつだけ、惜しいところがあるとすると、テレ端が18mmという部分。
これがあと4mm伸びて20mm以上あると、街撮りスナップでぐっと使いやすくなります。EOS-M用のレンズでは EF-M 11-22mm F4-5.6IS STM という絶妙な画角のレンズがあって、
いっそのことこのレンズを広角撮影専用にEOS-M本体ごと買うのもアリかもなぁ
 
 
…ううっ、自分もこの撒き餌レンズから、沼に見事にはまりそうです。