TOKYO PHOTO 2009、行ってきたよ。

http://tokyophoto.org/index.html
TOKYO PHOTO 2009
 
 
 先週土曜は、ヴェルサーレ六本木で開催されたTOKYO PHOTO 2009に行ってきました。
TOKYO PHOTO 2009
 会場内は、予想していたよりもかな〜り混んでいて、
作品をじっくり観るというよりは、数人で色々眺めながら巡回する方がよさげな雰囲気。
恋人を連れて行ってもOKな感じの、写真ショーといった雰囲気でした。
 
 会場内を見渡してみると、写真関係の有名な人はもちろん、
現代美術や・デザイン・ファッション系に関心がありそうな雰囲気の人が多い感じで、
首からぶら下げているカメラも、デジタル一眼レフではなく、
イカ銀塩一眼レフやコンパクトデジタルカメラE-P1率がやたら高かった。
 
 会場内はblog用だと撮影禁止と言うことだったけど(泣)、
プレスパスを下げた人も下げていない人も結構色々な人が撮影してました。
詳しい様子の写真は、様々なblogや来月ごろの雑誌とかにいろいろ載ってるかも。
 
 当日入場料が1500円とかなり高いことを考慮すれば、
写真・美術のイベントとして動員人数は大成功だと思います。
 
 
 で、展示内容について。
 ここ1年〜2年くらい、東京の写真系のギャラリーを色々こまめにチェックしているのですが、
現代美術モノで大手どころというか、有名どころのギャラリーの展示の半分近くは、
今回のTOKYO PHOTOで復習というか、さわりの部分をおさらいできました。
 今の美術雑誌などで出てくる、写真をベースにした日本人の美術作家で、
有名どころの作品がこれだけ一同に揃う機会はなかなかありません。
また、参加しているギャラリーが扱っている海外作家の作品も数多く展示してあり、
日本の作品と、海外の作品、古い作品と今の作品を比べて色々観ることができます。
 
 好みの作家さんを見つけたいという人や、
他ジャンルから写真を眺めて見たい方にとっては、
はじめの一歩としてはかなり便利で「使える」イベントでは?と思いました。
確かに、1500円でこれだけの量を短時間で観れるのはオイシイ。
 
 
 もうひとつの大きなポイントは、作品の価格が作品の横に明記してあること。
美術館の写真展などではわからない作品の(ギャラリー)価格がズバリ書かれているのは、
ギャラリー体験があまり無い人だと結構ドキリとするし、話のきっかけのネタにもなる。

 
 
 その一方で、気になった部分もいろいろ。
 
 最大の問題点は、作品の量が多く、密度が詰め詰めすぎること。
会場の人口密度も極めて高く、一点一点をゆっくり観賞するという感じは薄くなります。
日曜日の、百貨店ギャラリーでの美術展を連想していただければ、雰囲気掴めるかも。
日本のギャラリーのブースは、会場の広さが、倍あってもよかった。
 
 内覧会の時点であらかたギャラリーどうしの商談は終わってるのでしょうが、
一般のお客さんが「この作品の作家さん気になるなぁ」と思ったときに、
ちょっとギャラリーの方に話をうかがったり、作家の詳細を調べてみることは難しい雰囲気。
もしも、会場で気に入った作品があれば、その作品があるギャラリーを後日再訪して、
ギャラリーの人とじっくりお話ししてみるのがいいかもしれません。
 
 もうひとつ、強く気になったのは、
ギャラリー所蔵の代表作や「押したい作品」「大作」が集中していて、
中堅〜若手の写真作家の作品や、気の利いた小品がほとんど無かったように感じたこと。
 ま、ショールームだからと割り切ってしまえばそれはそれなんですが、
比較的評価が固まっているっぽい作家さんばかりな印象もあるし、
そういう作家さんの作品はどうしても「値段」もかな〜り高くなる。
 世界の現代写真マーケットの潮流が大きめサイズを指向していることもあって、
今回の展示でも大きめサイズの写真がやたら多かった印象があります。
 参加したどのギャラリーも、なにかしら力が色々入りすぎている印象があって、
それが展示で見事に上手くいってるところと、そうでないところがありました。
 
 あとは、TOKYO PHOTOというどでかい名前の割には、
東京とその近郊の写真系ギャラリーでも参加してない場所がかなり多かったり…。
現代美術の視点から少し離れた、世界に向けて「売りにくい」写真はほとんど展示が無かったり、
今の日本の写真の、作品トレンドのひとつでもある「小さい写真」がほとんど見られなかったり、
いわゆる「現在のスナップ写真」はほとんど無かったり…。
 
 今回の展示だけだと、東京や日本の「いまの写真」のごく一部分しか見せられていない。
あまりに、現代アート方面だけの展開が突出して強く、
日本の写真の多様性や雑種(ハイブリッド)感があまり感じられません。
広告写真や雑誌写真やグラビア写真やアマチュア写真との密な接触や危うい関係性が、
日本の現代(美術)写真では結構重要だと個人的に感じているのですが、
そういう面白い部分が圧倒的にドカンとでていたのは篠山紀信の展示即売ブースくらいかなぁ?
 そういえば、アラーキー森山大道の写真も無かったし、
尾仲浩二の展示作品は、小さいカラー作品ではなく大サイズのモノクロ作品だったような…。
 
 あと、日本のクラシックな写真や、大御所どころの作家さんの作品も少なかったような。
(恐らく、この辺は美術館や博物館や個人が所蔵していて、ギャラリーで扱えないからかも…。)
 
 次回があれば、
新宿や中野辺りの裾野のギャラリーも色々参加しやすくしたり、
ビジネスには即結び付かないけれども、「東京らしい写真」の数々を
うまいこと展示する場所を用意する必要があるだろうなぁと強く感じました。
 この辺がしっかり押さえられると、東京・日本国内どころか、
世界に誇れる、面白い写真イベントに大きく化ける期待もできます。
 
 
 今回これだけ一般入場者が入るイベントになったので、
次回があったら、絶対受けるイベントになるので、期待しています。