「偽装請負」労働が製造業で横行 実質派遣、簡単にクビ

http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY200607300428.html
asahi.com


偽装請負の現場で働く労働者は不利な立場にある=図。
担い手は20〜30代半ば。
ボーナスや昇給はほとんどなく、給料は正社員の半分以下だ。
社会保険の加入さえ徹底されず、
契約が打ち切られれば、すぐさま失業の危機にさらされる。
 
 請負労働者が働いているのは、ハイテク商品を扱う最新鋭工場が多い。
 
 大分市郊外にあるキヤノンの子会社「大分キヤノン」の大工場。
作業台に沿って、若い男女が立ち並ぶ。
視線は手先に集中し、黙々と人気商品のデジタルカメラを組み立てる。
多くは、請負会社から送り込まれた。
県内のもう一つの工場と合わせると約4000人で、正社員の3倍以上の人数だ。
 
 大分キヤノンは昨夏、偽装請負があったとして大分労働局から改善指導を受けた。
だが1年たった今も、違法状態は完全には解消できていない。

(中略)
監督官庁がないため、請負会社で働く人の数はつかみにくい。
厚生労働省の推計だと製造業だけでも04年8月時点で87万人に上るというが、
働く人たちの多くが自分たちを派遣労働者と思い込んでいる。
 
 メーカーの認識不足も著しい。
関東各県の労働局が昨年製造業約9000社を対象にしたアンケートでは、
回答企業1876社のうち
「派遣と請負の区分を十分理解している」と答えたのは34%。
多くが違法性を認識しないまま偽装請負を続けているのは間違いない。

 
 今時のデジカメやプラズマディスプレイなど、
「安価な」日本製ハイテク商品の組み立て現場が、
スエットショップ(スウェットショップ)とまではいかないものの(?)、
このような偽装請負が行われ易い状況を容認しているということは
デジカメなど家電製品の利用者も、
ある程度意識しておいたほうがいいかもしれない。
 
Canonは、改善策を発表しているらしいけど…
http://www.asahi.com/business/update/0731/119.html
asahi.comキヤノン偽装請負一掃へ 数百人を正社員に
 
その一方で松下系の企業では、こんな「対策」もされていたりする。

 同社はその直後、行政指導に従って、請負労働者全員を派遣契約に切り替えた。
ところが今年5月、派遣契約を全面的に請負契約に戻し、
これまでパネル製造ラインで指揮命令する立場だった松下社員を
「技術指導」の名目で、1年間の期限付きで複数の請負会社に出向させた。
労組も合意している。
 
 関係者によると、出向社員の総数は200人規模にのぼるとみられる。
直接の資本関係のない請負会社への大量出向は異例だ。
 
 パネル製造ラインでは請負契約に戻した5月以降も
松下側からの出向社員が請負会社の労働者を指揮命令し、
出向社員の業務内容や待遇は変わっていない。
出向社員の給与や社会保険料は松下側が
請負料金を割り増す形で実質的に肩代わりしている。
 
 大阪労働局は
「前例のない請負形態なので、
調査して実態を確認した上で適正かどうか判断したい」
という。

http://www.asahi.com/business/update/0801/047.html
asahi.com:松下系社員、請負会社に大量出向 違法性回避策

 
 フェアトレード云々でコカコーラやスタバetcを攻撃する人はいるけど、
こういう状態の日本の大会社・工場に対して調査を行って、抗議して、
不買運動などを店頭で仕掛けるとかいう人は、あまり居ないんだよなぁ…。
ま、わたしも普段はそういうことしてないんだけど、
この松下の手法は、なんとなく色々とやばい気がする。
これからの調査・追求具合に色々期待します。