今日は写真新世紀のトークショーを(途中からだけど)聴講してきた。

http://web.canon.jp/scsa/newcosmos/news/2009_result_report/index.html
キヤノン写真新世紀:2009年度優秀賞選出審査会報告、優秀賞・佳作受賞者の発表
 
http://web.canon.jp/scsa/newcosmos/index.html
キヤノン写真新世紀
 
 先週水曜日にも東京都立写真美術館一度行ってきたのだけど、
色々気になった&来週金曜日の公開審査会にも行くことになっていたので、
今日のトークショーに行こうとしたら、午前中の大荒れの天気が原因なのか偏頭痛(泣。
   
 結局会場に着いたのは4時半頃で、前半3人のトークが終わったところで…
まあ、自分が聞きたかった作家さんのトークにはなんとか間にあったので、よしとするかな。
…いや、やっぱり遅刻は良くない反省。
 
 
 クロダミサトさんの作品は、
付き合っていた恋人を、白黒フィルム+50mmの単焦点レンズで
「かなり凄い枚数」撮影して分厚いブックと展示にしてた。
展示とトークはひたすら彼氏とのラブ具合の素晴らしさと、
大きく魅せたい写真が「若干引き」になってる感じの良さが印象に残りました。
 好きな人と過ごした時間を写真に残したいってのは、いろいろ強いし、
写真からもその楽しい時間が沸き上がってきていました!
個人的には、好きなタイプの写真です、次回作が気になる。
 
 
 Adam HOSMERさんの作品は、
作者本人が撮影した家族の肖像写真の目鼻口などをフォトショップで微妙にいじった後、
「皮膚の色」のペンでグリグリグリっといろいろ線を上書きした作品。かなり完成度高いです。
 なんとなく、米国マンガの目鼻のディフォルメ感や、細かい線で執拗に影を書き込む感じや
不気味の谷を越える方向に行かなかった「CG」のフェイスモデルを連想したり…。
どちらかというと、アート界隈の人の方が興味深く眺めてたり、親和性ありそうな感じでした。
 
 
 最後に、秦雅則さんのグランプリ受賞個展「幼稚な心」の説明。
http://hatamasanorihata.ganriki.net/
HATA MASANORI
これ、なんだか気になってたんだ。
 
 最初に、
『自分の写真は正義か悪かでいえば、「悪」の写真です』始まった秦さんのトーク
ここで子細を書くのはちょっと大ネタバレになりそうなので止めておきますが、
作者の意図がわかって見ると、その「悪」の具合がいろいろわかりそうです。
 
 自分は、写真は面白いと思ったのですが、その展示の感じはいまいち判りませんでした。
強いイメージなのは確かですし、熱狂的なファンとアンチが付くタイプの作品だと思います。
この11月、秦雅則さんは6箇所で同時に個展を開催するとか。
http://exihibi.exblog.jp/12936033/
風変わりなギャラリー「明るい部屋」で開催される個展はチェックしたいなぁ。
 
 
 
 
 今回の会場で、一番「パワフル」だった写真は、
杉山正直さんの「オレハ・オララ」。
杉山さんは、六本木スタジオや篠山紀信さんのところで仕事していた後、
2005年から「フリーダム開始」しているそうです。

 今回出展された、長期間の南米旅行をして撮影した「同じ角度」のセルフポートレート群は、
すごく楽しそうで、けど旅写真独特の一期一会感とか別れの寂しさを紛らわすペーソスとか、
驚いたりトホホしてたり強がってたり恋してみたりして、
旅している自分をいろいろ演出してみせたり、けど髪型はずっとモヒカンだったりw、
とにかく不思議と充実感がある虚実皮膜感が出てる。
写真集とか出してトークしたら、すぐ売れそうな感じ。
 
 そして、展示された写真の側に貼り付けられたコメントの使い方とか、
会場に集まっていた数多くの友人との楽しそうな会話の雰囲気とか見ていると、
「紀行写真」の撮り方まとめ方として、これは面白くてアリだよな…と感じました。
もしも、今年の写真新世紀でグランプリが出るとしたら、今年はこの作品ではないかな?と予想します。
 
 気になったのは、写真としては素晴らしくいい感じなんだけど、
blogやSNSfacebookFlickrTumblrやらtwitterなどが日常化した今では、
このようなスタイルでの「旅」についての表現方法は、懐かしい感じがするところ。

 「なんとなくアナクロで、若者の貧乏旅行の旅写真が好きな人が持ってるステレオタイプ」を
表現しているときにしたたかに狙ってしまってる(あるいは引き寄せてしまう)っぽい部分もあるというか、
「印刷できるメディアに相応しいレベルに合わせて表現している」感じがする。
作者自身が、「若者の旅」の定番イメージに、はまってしまってる部分もあるのかもしれない。
 
 例えば、旅とネットのイメージを絡めた動画だと、
少し古いけど、Matt Hardingさんの動画とか参考になる、
ネットを使って、したたかに&積極的に旅の過程で
現地の人(それも集団)々やスポンサーを巻き込んでいくスタイルが、アートで面白い。

http://www.youtube.com/watch?v=zlfKdbWwruY
 
Matt Hardingって何者?:クリエイティブのアンテナ
http://tom81.blog112.fc2.com/blog-entry-241.html
 

http://www.youtube.com/watch?v=Flg20PmhSbc
YouTube - Matt Harding chooses VISA card
 
 YouTubeustreamも21世紀にはあるのに、動画やFacebookで表現やらずに、
なぜ今、写真(ブックとパネルと書き文字)でこの表現をやっているのかって部分は、
可能であれば聞いておきたかったなぁ…自分が遅刻したトーク部分で話したのかしら?。