パーティー空間と、ダンスフロア内での「領域」感覚の一時喪失について。

http://d.hatena.ne.jp/inumash/20060718/p1
想像力はベッドルームと路上から:
僕らは多分、「正当性」よりも「身体と領域の自由」が欲しいんだ。〜サウンド・デモの政治性〜(長いよ)


そして、テクノやハウスで重要なのがもう一点。それは「領域の確保」だ。
自由に踊る為には、それなりの空間を確保しなければならない。
もちろん他者との関係もあるので、クラブやレイヴにおいては
個々が自らの「領域」を規定し、その範疇の中で踊ることが求められる
(時々、これがわからない馬鹿が場を壊すけれど)。
これは、ロックの楽しみ方と比べると分かりやすい。
BECKはかつて、
モッシュは「連帯」を、「サークル(モッシュしながらグルグル廻る行為)」は規則を表す』
と言っていた。
クラブでは基本的に身体同士は触れ合わないようにする。
逆にロックのライブに行って、モッシュしているところで
「領域の確保」なんて言ったら殴られるのがオチだろう。
で、いくつもパーティーに行っていると分かるんだけど、
本当にいいパーティーでは、例えばディスコカルチャーに見られるような
分かりやすい一体感が無いことが多い。
皆好き勝手に踊っていて、反応するポイントも歓声もバラバラなのに、
何故か奇妙な一体感がある。
その感覚はロックのライブでは決して得ることが出来ないものだと思う。
 クラブでの個々の空間の取り方の、かな〜りいい感じの解説になってると思う。
ただ、ちょっと気になるところもあるので、追記しておこうかなと思った。
 
 日本の小箱のテクノのパーティーだとあまり見ないんだけど、
中〜大箱や野外レイブでのハウスやトランスなどの大きめのパーティーでは
ある特定の時間帯(主に長時間セットの明け方〜パーティー終盤最後のピークターム)に、
種々のセッティング*1やDJやVJやライティングなどの影響で
"一時的"にフロアの大部分の人が、自らのキープしていた「領域」を一気に崩していくことがある。
もちろん、崩し方にもある程度の節度はあるけど、時々ものすごい状態になる。
 
 知らない人同士がいきなりサイコーとか言いながら抱き合っていたり、
いきなり10人近くが手を繋いで輪になって踊ってたり、
いきなり「イケメン上半身脱ぎ大会」が始まったり、
一瞬のアイコンタクトだけでいきなり集団ダンス(バトル)セッションが始まったり、
知らない相手から持ってる水を分け与えて貰ったり、逆に水をあげたり…
 それは、12時間〜24時間程度の長時間パーティでも
ほんの一瞬の間、大抵5分未満〜せいぜい長くて20分程度の間なんだけど、
この「領域」を崩していく瞬間ってのを何度か体験すると、
レイブミュージック、テクノやハウスやトランスの凄さとか
「領域を崩せる」ヤバさがわかるんじゃないかなぁ?
 
 これは、ディスコのような"仲間たちっぽい一体感"とは違うし、
ロックコンサートのような一体感ともまたまた全然違う、
どちらかというとテンポラリーっぽい、その場数分〜一夜限りの一体感だし、
日本語で言う「袖擦れ合うも他生の縁」という感覚に近いのかもしれないけど、
パーティーに毎週のように通って何度も「袖擦れ合う」ようになると
日常生活でもちょっとした「袖の擦り方」が色々と上手くなるってもんでw。
 

*1:具体的には異様に盛り上がった一部の客(含む私)の影響や、野外レイブでの朝焼けや皆既日食の瞬間などなど