その人が「写真」に興味がないなら、その人が興味があるものだったらいいのかなぁ。

http://tsaka.exblog.jp/2517350/
tsaka.jp 写真展キャンペーン : 写真家の立ち位置
 
 リンク先を含めて、とても面白いエントリーです。
これは、写真ならではの問題意識かもしれない。
 


 じゃ、写真に興味のない人に見てもらう努力は?という点は、
 
写真は誰が見ても面白いものではなく、
ある程度見る目というか、慣れが必要だと思ってます。
また、おれが面白いと思う作品、おれが作りたい、作らねばと思う作品は、
誰が見ても面白いものでなく、
おれと価値観がダブった人だけ共感できるというのが現状ですよ。
仕事じゃないので、おれがどきどきできる面白いことだけやるのが、
前提ですからね。
 
で、写真に興味ない人に写真の面白さを知ってもらおう、
という啓蒙的な活動はおれの手に余るので、やりません。
それは、一人の写真家がやる事じゃないと思ってます。
メディアだったり、公立美術館のキュレーターだったり、
小・中・高校の美術の先生がやることだと思ってます。
もっというと、それはそういうとこに予算をまわす、
政府の仕事かもしれないですね。おれはそう思ってます。
 
正直、おれは正しいこと言ってる保障はまったくないですよ。
でも、矛盾や間違いがあっても、それはべつにかまわないんですよ。
ちょっと頭のおかしい人も入っている、Cグループですからねw
 この点にはかなり激しく同意します。
 
 写真やビデオの撮影と編集に関しては、
メディアリテラシー教育という面からも、
コミュニケーション教育という面からも、
是非とも、義務教育カリキュラムで実技指導に加えて欲しい、
それも、小学校くらいの時期に一度。
望遠系や広角系のズームレンズを一度覗くと、世界観変わりますよ。
けど、これ、美術教育とかだけではなく、生活科の範疇かな?
 
 ただ、ひとつ追加するとすれば、
写真を見る訓練ってのは、意識して訓練するものと、
無意識のうちにやっているものとがあるってこと。
で、その無意識のうちにやっているものは、
すでにとんでもない量を見ているはず。
今の日本、特に都市部では。
それも「写真」だと意識されることなく。
 
 例えば、日本では「日本なマンガ(描かれた記号)を読む訓練」を
意識してしてる人は研究者や実作者を除いて、非常に少ないけど、
相当な数の人がマンガ雑誌や単行本を読みこなしている。
(これ、海外の非オタクにとっては相当驚くべきことだそうです。)
 
 日本で(特に都市で)生活しているということは、
ほとんどの場合、1日生活したら数十枚〜数万枚の雑多な写真を
断片的な「イメージ画像」として見ることになるります。
写真を見るのが大嫌いなら、街では生きていけないくらい。
それはもう、吐き気がするほどw。
 
 たとえば、宅配新聞折り込みの広告で入っている
週末のジャスコ(AEON)の大判チラシを1枚見ただけで、
軽く百点以上のブツ撮り写真*1を見ることになるし、
本屋でファッション雑誌を見ればイメージフォトがゴロゴロあるし、
コンビニでヤンマガとか買ったら女性のグラビア写真が載ってるし、
新聞には政治家の顔写真がモノクロで掲載されているし、
アイドルCD買いにタワレコ行ったらジャケに写真が載ってるし、
電車で向かいのおじさんが読んでる雑誌の表紙は女優さんの人物写真だったり、
同じ電車の中吊り広告にはフォトショップで修正入れまくった
マンションの分譲広告写真と、某政治家の宣伝写真。
そして、学生証や免許証を見たら自分の顔写真が載っていて、
前に座る女子学生の携帯待ち受け画像はおそらく彼氏の写真、
そしてその娘さんが手持ちのラメ入り表紙の手帖を開けば、
大量の文字や絵の書き込みがあるプリクラ写真が。

 …書いててきりがないなぁ。
まあ、要するに、とんでもない量と種類と意図を持った写真が
私たちの生活空間には断片的にあるわけですよ。
 
 これら生活圏に溢れる大量の写真を見て、
どう判断するか(しないか)という日々の行為は、
スパルタ教育というか、そうとうハードな訓練であり、
そしてある種の文化的な洗脳に近いものなのかもしれない。
 
 けど、それだけ膨大な写真がこの世の中にあるのに、
それじゃ、まだまだ満足できないほど欲深いので、
今日もカメラ片手に自転車で夜の街に撮りに出て行くんですけどね。
私自身が写真を見るための訓練も兼ねて。
 
 あと、もうひとつ。
 私がクラブでガシガシ踊りながら撮って、
即コンビニプリントして配ってる「写真(なのかなぁ…)」の場合には、
それをパーティー仲間に見せた時の反応を見るのがとても楽しいってのがある。
ファッション雑誌とかのクラブ紹介で撮られているパーティー写真って、
ほとんどすべて、わたしが知っているパーティーの実感と、
なにかしら、けど、勘どころが全然違うんだ。そう、全然違う。
 
 だから、他の人が撮ってるいい感じのパーティー写真を見ると、
ついつい色々な人に紹介したくなるし、そりゃ贔屓目入ります。
 

*1:家族イメージ写真の他に、野菜とか牛乳とかワンピースとかの写真が値段の数字と一緒に並置されてる。余談だけど、ブツ撮り系のカメラマンって、トップクラスだと凄まじく収入が高いらしい。