オタク商品の金銭的価値を下支えする"市場"の一部としての転売屋。

(製作途中の文章です)
http://d.hatena.ne.jp/workshop/20040320#p4
の続きです。
 
 オタクマーケット・特に、波状言論森川嘉一郎さんが指摘した
レンタルボックスにおける「転売屋」の存在とそのポジションは、
広く深く考えると非常に複雑でややこしいのですが、
ここでは私自身の転売体験からいろいろと。
 
 ほんの4〜5年前、ファミコンブームがくるちょっと前のころ。
 私が福岡で浪人生活を行っていたこの時期、
私は暇があると(あるいは暇を捏造して)、地方のおもちゃ屋や玩具問屋をひたすら軽自動車で巡回し、
そこでマニアックなレトロゲームを激安捨て値価格で買いあさり、
そしてその一部(というか大部分)をヤフオクや海外トレードやらで転売&交換すると同時に
その利益&余剰利益&役得で自分のゲームコレクションを一気に充実させるという
趣味と実益と情報収集を兼ねた行動を行っていました。
 当時は、1年間あたり100万円近くのテレビゲームソフトハードを購入し、
同時にウン十万円のゲームソフトを海外トレードで売却&交換し、
ヤフオクや個人売買や業者への販売でこれまた大量に売りさばき、
そうやって大量購入&大量販売を継続していく過程で
自分のコレクションの「クオリティ」を上げていった結果
なんだか異様にマニアックなコレクションができあがっていったのでした。*1
 
 このような大量購入&大量販売サイクルが成立していた理由に、
レトロゲーム市場の価格の「バブル状態」がおととし頃まで継続していたことや、
まだまだレトロゲーム市場が「売り手市場」だったために
在庫過剰の起こるリスクが少なくて済んだことがあります。
 
 次に、私が大阪に引っ越してきてしばらくして、
「ゲーム探偵団」がレンタルボックスを開始したのを機に、
お店やさんごっことしても、日本橋における実験としても面白そうなので、
ゲーム探偵団がレンタルボックスサービスを終了するまでの1年半ほど、
今回も色々と趣味と実益を兼ねて色々大量購入&販売を繰り返しました。
 1年強での総売上は30万円ちょっとと、結構な金額なんですが
しかし、購入資金と投資した時間を考えると「儲かる」というには微妙で、
その投資した時間分バイトして、そのお金でコレクションを買い足した方が
良かったのかもしれません。
 
 でこの「バイトした方が儲かるし、コレクション充実に有効」なのが重要。
 オタクにとっては、好きなジャンルの品物の購入や入手に投下する
並ぶ作業や探索する作業が、労働力としてかなり"格安"に見積もられている
奇妙な傾向があります。ある種、これはダンピングに近い状態。
 私は、特にレア同人誌に関してはコミケなどで並んで買うより
ヤフオクやプレミアショップで高値を払う方が楽に感じています。
 転売という作業は、大規模なプロの仕事か、
あるいは「なにかのついで」でないとなかなか割に合わない労働だと思います。
 レンタルボックスレベルの小規模な転売ではそれほど利益がでないのではないか、
むしろレンタルボックスにおける転売の側面は、
購入品の一部を売る・もしくは値段を付けることで、
自身の「購入という労働行為」の成果(対価)を確認する行動としての側面が強いのではないかと。
 これは、オタ系ショップでのレア商品の高い販売価格(と買い取り金額の安さ)の大幅な差を揶揄しつつも、
その価格自体はとりあえず参照することで自分のストックの"値踏み"を行う
私自身の行動にも現れているかもしれません(w。)

 
 しかし、色々情報収集を行って、目の前でそのソフトの価値を判断し
販売価格を決めていく過程を大量に経験したことは良い勉強になりましたし、
自分にとって意外なソフトに売り上げが集中したり売れなかったり、
リスクはあるものの"大量買いの快楽"を味わえるのは転売独自の魅力ですし。
なりより探索中にごくまれにある、自分にとっての激レアアイテムとの遭遇は
本当に鳥肌が立ってきます。
 
 たとえ、それが親の世代にとっては「よくわからんガラクタ」で、
レトロゲーム専門店以外では「まとめて買いますよ、1個10円で」な代物だったとしても。
 
(この話題はさらに1980年代のバブル経済と絡めて、
特に"地上げ"や美術作品購入の投機的側面や、
秋葉原日本橋での地域再開発の"遅れ"の謎や奇妙な土地活用などに
突っ込んでいき...いきたいけど勢いあって力足らず状態。
この力不足はなんとかしろ自分(汗。 )
 

*1:そして、その転売過程で浪人時代の学費の半分をまかないました。