TVニュースで特集「溢れる「美少女ゲーム」〜幼女を"仮想監禁"」
今日の夕方の関西テレビのローカルニュース番組『ほっとKANSAI』で、
美少女ゲームを巡る特集がありました。
番組構成は、美少女ゲームと少女(小学校低学年)への性犯罪についての関連性を
"強く"匂わせるものでした。
http://www.ktv.co.jp/b/news/
- - - - - - 番組解説ここから- - - - - -
冒頭で、ふたりのキャスターが、
A:「インターネットに氾濫します、わいせつな美少女ゲーム」
B:「最近多発する少女を狙った性犯罪について、ある市民団体が、
美少女を思いのままにするアニメゲームの影響があるのではと指摘しています。」
と述べて始まったこの特集は、TV局側の「最初の煽り」の強烈さと、
取材をされた側の温度差があるっぽいところに興味をひかれました。
冒頭部にでてきたのはいきなり、ランドセルを持った*1女の子を中年の男が監禁するゲーム。
「男を操って少女を思いどおりにする。」
「こうしたゲームはインターネットで簡単に手に入る」
とのナレーション。
このあとに、関西各地での小学生低学年の少女が襲われる事件と、
栃木県黒磯市での少女連れ去り事件についてのコメント、
主犯の男性が美少女ゲーム(AIRでしたっけ)のファンだったことを
ナレーションが指摘しています。
そのあと、28歳フリーターがネットで知り合った大学生の友人と
日本橋を巡回する光景と、彼の
「欲望を、現実では出来ない欲望を、画面のなかで満足する」というコメント。
そして、美少女ゲームショップの「オタ的風景」が流れ
(ここでの音楽がミステリー調の怪しい音楽だった)、
そして新作の平均価格「8800円程度」と、
安価な中古ソフトの存在(「尾行3」のポスターが出てきました)を示しました。
先程、インタビューされていた人曰く、
「いろんなきれいな子が何人も出てきて楽しめるかなぁ。
ハーレムみたいな...夢のなかなら自分は王様になって楽しめる。
他人に迷惑をかけているわけではないから。」
とコメント。
(ちなみに、ここでテロップミス、
「色がきれいで何人も(少女が)出てくるから色々楽しめる」
とテロップでは表記。確かに髪の毛や目の色は色々だよなぁ。)
ここで、ナレーションがここで扱う「美少女ゲーム」を定義付け。
10年ほど前に出現、アダルトアニメにゲームの要素が加わり、
一般のコンピューターゲーム市場とは別に急成長。
業界では独自ルールを設け、18歳未満禁止ソフトとして流通させる。
市場は300億円。
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次に、登場したのが
大阪府池田市のNPO、「アジアの児童買春阻止を訴える会、カスパル」
http://www2u.biglobe.ne.jp/~caspar/
http://web.sfc.keio.ac.jp/~thiesmey/cp/caspar/
のメンバーのうちふたり。
ナレーションは、
性的虐待を受けるアジアの子ども達の救済活動を続けるカスパルは、
児童が襲われる事件の背景に、氾濫する美少女ゲームがあるのでは、と
"調査に乗り出し"ました。
(ここ重要なポイント。
このカスパルの活動はまだ、「調査段階」です。
はっきりとした結論を出しているわけではありません。)
美少女ゲームの画面(モザイクあり)と美少女ゲーム雑誌を眺めながらの、
カスパル側の発言は
「これが、社会に出た場合に、非常に危険ですよね」
(この発言、「これ」が何を指すのか判りません。
そして、発言の前後の文脈がさっぱり判りません。)
というコメントで始まり、次に、
「すごく、こうね、リアリティがないから、逆に、犯罪意識もあんまりないんじゃないか、と私は思う」
と指摘しました。
(美少女ゲームにおける「リアリティの無さ」は私もかなり感じます。
しかし、リアリティのあるポルノグラフィやファンタジーというものが、
どれだけポルノ市場や美少女ゲーム市場やボーイズラブゲーム市場や
ロマンス市場において需要があるかを考えると、
そのリアリティの無さを"攻撃"することには注意深くありたいと考えます。
加えて、妙にリアルなファンタジーだと、萌えたりハァハァすることはできないのかもしれません。)
ここで挿入されたナレーションでは、
「美少女ゲームには純粋な恋愛シミュレーションもあるが*2、
会では、ストーリーのほとんどが"陵辱シーン"であるようなゲームが増えていると指摘しています」と。
(しかしここでのテロップは
『会の分析：ストーリーのほとんどが陵辱シーン』。
このテロップ付けはあらぬ誤解を招いてやばいんじゃないのでしょうか。)
(ここ数年の「鬼畜系」と言われるジャンルの作品の急増には私も同意します。
しかし今はその"ブーム"は去っていると言えるでしょう。)
また、
「すべてがもうけ主義になっているでしょ、
そういう大人の社会が子どもの社会を破壊している。
そのことをお父さんお母さんが気が付かないとダメですよね。」
という指摘もしています。
(しかし、前後文脈がカットされているため、この発言の前後関係の詳細は不明です。)
一方、精神科医の(神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科助教授の)香山リカさんが登場。
http://www.kobe-du.ac.jp/inside/teachers/visual/kayama_r.html
ナレーションで、
「香山さんは、美少女ゲームが直接犯罪に結びついたケースは無いとします」
と言った後、
香山リカさん当人のインタビューでは、
ゲーム内によるコミニケーションから、実生活コミニケーションに結びつく可能性や、
ゲームの話題を通じた同世代コミニケーションがあるなどといった「良い影響」について指摘しています。
また、ゲームが実社会に与える影響がはっきり実証されていない段階での
法規制をしてしまうことには疑問を感じるとも述べています。
このあと、日本橋のゲームショップ(美少女ゲーム売場)のシーンが映り、
ナレーションで、美少女ゲームが
「対面販売時に18歳以上の年齢確認が行われていること」
「大人向けの市場が確立している」であることが述べられ、
そしてショップ店員さんの
『対面販売の際には学生服のお客さんはお断りしています』
というコメントが流れます。
そしてその後、美少女ゲームの情報配信を行っているサイトを取りあげ
(ダウンロード販売の業者サイトかも（？）この点子細不明です)、
カスパル側がこのサイトの閉鎖を要請しに関西から東京へ出向いたところを映していました。
サイト運営会社のコメントは、ナレーションによると、
「クレジットカードや免許証などで、厳格な18歳以上の年齢確認をしている」
とのことで、双方の議論はかみ合わなかったということです。
(この点は、微妙だと思います。
オンライン販売による製品の購入時にはクレジットカード番号が求められる場合が多いのですが、
体験版や壁紙などを入手したりサイトを閲覧するだけの場合には
トップページの「警告：18歳未満立入禁止」を自己申告で通過するだけで
OKの場合が多いからです。)
このあと、メディア倫理協会の「斎藤雅則」さんなる人物が
(この人、ぐぐるで検索しても出てきませんでした)
「協会内でも、新しいメディア故に試行錯誤している」
「そこ(協会)から離れた方々には、我々は強制力はないし、そこにあれやこれや口を出す権限は私達にはない」
とのコメントをしていました。
ここで、香山さんが再登場、今までのようなインターネットの自主性を尊重し、
「法的規制がされる前に発信者の側が、なんだかの自覚を持って自主的な判断を行って欲しい。」
とコメントしました。
しかし、この後のナレーションでは、おきまりの
「ゲームは子どものためのコミニケーション手段」
「ゲームにのめり込むことによって現実との結びつきが失われている人が居る」
というコメントが流れ(またこれかよ...)、
「いま、業界が直面する問題」と述べてビデオを閉めています。
ここで映像がスタジオに戻り、ふたりのキャスターが
A:「日本のアニメは世界に発信されているが、卑猥なものもインターネットを通じて全世界に流れている。」
B:「問題なのは、こういう物にどっぷり浸かっていると、現実との境界が崩れていくのでは...」
A:「(話を遮って)そういう人もなかには居るかもしれない。
「ただ、インターネットはまだ出来て新しいメディア、これからきちんとできてくる。
法的内容よりまず自主規制」
B:「むしろモラルの問題なんですかね」
と少し論調をやわらげて、話題は終了しています。
- - - - - - 番組ここまで- - - - - -
ところで、日本橋で売っている美少女ゲームソフト店舗と
クレジットカード使用によるオンライン通販(ダウンロード販売？)と
「インターネットの世界」を強引に結びつける展開は正直どうよと思いました。
あと、「ゲームは子どものもの」だけという一般通念がTVではまだ通用するんだなと(笑。
ちなみに、この特集の次は、ナムコが手がけた「餃子テーマパーク」の特集でした。
ナムコにとってはなんと間の悪いトピックの繋がり方だ(笑)。
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追記
はてなダイアリー内の
「でつ ＜YYmuuchoのつまらん日記。 http://d.hatena.ne.jp/yymuucho/20040217 」
から、
写真付きの番組内容紹介のリンクが貼られています。23時半現在未完成です。
追記2:カスパルのリンクが、どうやら古い物だったらしいので
新しい側のリンクをを追記し、修正しました。
