会田誠トークセッション&映像版「ミュータント花子」特別上映会行きました。

 まず最初に、映像版「ミュータント花子」の感想はまた後日、
けどその"後日"は数年かかっても来ないかもしれません(w。
 
 ペプシコーラがぶ飲みでハイになった状態で観賞したら、
観賞3時間後に脳内で突如やばいものが視えそうになり、
その対処にかなり苦労しましたとだけお伝えします。
 こんな時に限っては、大阪大学日本学専修にいたことを後悔します。
 
 トークセッションの感想は...これはメンドウなので省略。
会田誠さん(よっぱらい)の話の数々は本当に面白かったです。
しかし、会田誠さんにはなぜか、「美術に愛されている人」という表現が似合います。

会田誠さんの「一人デモマシーン」(追記しました)

  
http://web.iminet.ac.jp/fes2004/news.html
(IMIニュース:期間限定写真につき消失注意)


 サウンドデモ的に、このバカバカしいマシーンはかなり興味をひかれましたし、
ある意味非常に会田誠さんらしい特徴が突出している作品かもしれません。
 こちらは、色々写真を撮ったり「体験」もしてきたので後ほど詳細を書く予定。
 
 参照:
http://ripitup.hp.infoseek.co.jp/demoalone.htm
http://www.korea-htr.com/jp/941950/94508tt.htm
http://www.korea-htr.com/jp/951960/95108ns.htm
 韓国の「一人デモ」についての記事 
 
 (90分経過)
 
 で、その詳細です。
 会田誠さんの作品には、
『巨大フジ隊員VSキングギドラ』や「戦争画RETURNS」シリーズ、
あるいは無意味に迫力がある『スペースウンコ』『スペースナイフ』、
あるいは国際電話で世界中に無言電話をかけまくる傑作インタラクティブ?アート『ロンリープラネット』、
あるいは巨大な東京都庁前の公園に段ボールの城を建てた『新宿城』など、
そして、最近では六本木ヒルズ森美術館に展示中の
壁画やビルボード並の巨大作品『MONUMENTO FOR NOTHING』、
そして映画「≒会田誠 無気力大陸」
http://www.bbb-inc.co.jp/aida/
で出てきた『「人」プロジェクト』など、
着想がかなりおもいつき的な雰囲気の割に、
なんだか人として作品としてスケールが異様に大きくクオリティが異様に高いい
(そしてしばし作品自体も大きい)作品がけっこう出てきます。*1
 ちなみに、絵の値段は、どうやら少なくとも日本では、
画家個人の評価基準に照らして絵画の号数(大きさ)で決まるらしいという慣習があり、
この現象に対する会田誠さんらしい皮肉も絵の巨大化の一因なのかもしれません。
 こんな、リソース(会田誠の「知」を含めて)や技術の"浪費"感覚と言うべきかもしれない、トホホ感が
会田誠さんの作品を一発ネタ以上の何かにさせているしっかりした基礎なんだと
私は思います。
 

 さて、この「一人デモマシーン」ですが、
それらの作品とは対照的に異様なタイニーさ(あるいはショボさ)がポイントになります、
もしもこの作品が巨大でしっかりとした立体造形になると...
単なる今時のメディアアートな作品になってしまい、
"会田誠さん的"ではなくなってしまう可能性が高くなるかもしれません。
(実は、全長1m弱のこの作品の中にはパワーマックG3が入っていて、
ちらりとソフトを覗いた限りでは、パワーマック抜きでは微妙に難しい
リアルタイム音声処理*2を行っていました。)
 
 今日のトークセッションで、会田誠さんは
ヒロ・ヤマガタさんがとんでもない金額を投じて作ったレーザーアート*3について言及し、
(参照:
http://ch-k.kyodo.co.jp/17kyodo/backnumber/backnumber2001/job/job18.html
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200303/26m/015.html
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200310/12/20031012k0000m040053000c.html
メディアアートにかかるとんでもない額のお金は、求める手法次第では
「個人名」で行うアートが扱えるレベルとしてはかなり苦しいことを指摘していました。
 加えて、世界的にメディアアートは美術商(>個人の買い手)には売れないということが定着しているそうで...。
 となると、メディアアートの売れる先というかパトロンは...。
 
 個人名で作品製作を行うことに意識的な会田誠さんは、
「一人デモマシーン」のプレゼンを行う直前に
メディアアートみたいな物を見るとチャチな物を作って「敵前逃亡」したくなる(ここ、うろ覚え引用です)
みたいなことを言ってました。ここで会場が爆笑。
 逃亡するとはいえ、それでも、チャチな装備でも敵前には一度行くところが
会田誠さんの愛すべきところです。
 
 まあ、それでもHotwired Japanのインタビューに取りあげられてますから
http://www.hotwired.co.jp/culture/interview/990706/01.html
メディアアーティストという肩書きも、本人は嫌がるかもしれませんが
それはそれでアリではないでしょうか。

*1:あるいは最近の「美味ちゃん」シリーズのような異様に大い"数量"で示す作品も

*2:ひとつの音声データを8つくらいに並列分配し、複数に分配した先で、それぞれの音声データを「ボイスチェンジャー+発音タイミング微妙にずらし」のプラグインに通し、その複数の音を再度ひとつに合成して、あたかも集団が発声しているような音声データを出力する

*3:1回の展示会で数億円近く使うらしい

さて、『一人デモマシーン』をやってみた感想は。

 小泉の嘘つき〜と叫んでみた後、か細い声でリピート・アフター・ミーしてくる
まったくもってショボイ合成音声に、おもいっきり寒くなった、
というか自分でやっててかなり痛くなりました(泣)。
 
 あ、そういえば、『自殺未遂マシーン』
http://www.nikkeyshimbun.com.br/020409-73colonia.html
と違って、腰ひもには強く引っ張っても外れそうもないしっかりした
工事現場用安全ベルトが付いていて少し驚きました。
 
 ふと思ったけど会田さんが立体作品で使う安全ベルトやパック酒や廃材、
そして寅一のジャージと無精髭と「よっぱらい」状態から推測すると、
「鳶職人」や日本の土木作業員(含む親方)を連想させる題材・素材選び、ファッションも
会田誠さんのテーマのひとつのような気がします。
 山谷や釜ヶ崎のような寄せ場感覚や、土木建築現場の作業光景や..。
 
 村上隆が、アニメやフィギア製作の職人技を伝統工芸からの流れとして喧伝するのとは対照的(?)に、
会田誠さんは世界最高水準の技術を誇る日本の土木工事や建築を影で支える
高品質でいなせな土木作業員を「男は黙って背中で」語っているのかも。
 となると、60年代高度成長期を支えた土木作業員のいまの現状から、
あえて段ボールハウスの城「新宿城」を作ったことは良くわかります。
 
 というか、ぐぐっていたら、ホームレスの遺品の畳で作った作品
「荒川河川敷のホームレス"ヨシオさん"の遺作〈人生シリーズ)」
http://www.jpf.go.jp/yt2001/cyber/artist/003_Aida/
なんてそのものずばりの作品もあるんですか、流石。