「なぜアーティストは貧乏なのか?日本講演ツアー」行ってきた。

Why are artists poor?
 
http://www.hansabbing.nl/index.html
Website HANS ABBING Visual Artist / Economist
 
http://d.hatena.ne.jp/hanakoblog/20091012/p1
なぜアーティストは貧乏なのか? - hanakoblog


ハンス・アビング博士[芸術経済学] 日本講演ツアー
「なぜアーティストは貧乏なのか?」
 
講師:ハンス・アビング博士(アムステルダム大学名誉教授)
日時:2009年10月23日 [金] 17:30〜(開場:17:00〜)
会場:東京藝術大学 (上野校地) 美術学部 中央棟1階 第1講義室
 
金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか

金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903341003/
 著書の「金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか」は、
柄谷行人さんなどの書評で話題になった名著。
 
http://www.kojinkaratani.com/j/books-j/books_20070225.html
KOJIN KARATANI OFFICIAL SITE 書評|金と芸術―なぜアーティストは貧乏なのか?
http://book.asahi.com/review/TKY200702270223.html
(asahi.com 版)
 
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2007/03/20070318ddm015070080000c.html
今週の本棚:松原隆一郎・評 『金と芸術−−なぜ…』=ハンス・アビング著 - 毎日jp(毎日新聞)
 
http://ueshin.blog60.fc2.com/blog-entry-943.html
考えるための書評集 『金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか』 ハンス・アビング
 
 自分もさらりと流し読みしていて、興味があったのと、
twitterの写真家クラスタから案内が流れてきたので、
秋葉原撮影ついでに聴講してきました。ためになった。行ってきてよかった。
 
 
 
 講演内容の箇条書きは、こちらを参照。よくまとまってます、感謝!
http://d.hatena.ne.jp/edtion1/20091024/p1
ハンス・アビング博士[芸術経済学] 日本講演「なぜアーティストは貧乏なのか?」〈第二会場:東京〉
私的メモ - 現代美術室
 
 
 あと、自分のtwitlogの夕方ぐらいにも、実況の痕跡が。
http://twilog.org/rhythmsift/date-091023
 今回は、携帯電話とtwitterを使って、
逐次、内容メモを晒して、反応来ないか探ってみる実験してみました。
後で指摘されましたが、なにかしらのハッシュタグ入れてたら楽だった。
 
 
 「臨時収入とかでお金が入る」>「お金があれば、あるだけ作品作りに使ってしまう」>「結局貧乏」
という循環ループは、実感として非常によくわかる。
この結果、アーティストへの直接金銭支援が、
アーティストの貧困対策としては、きわめて効果が薄いし、
公共事業としてはあまり効果が良くないと言う論は、明快です。
 
 そして、アーティストが貧乏を我慢してしまう理由は、
美術創作活動が(市場経済システムから外れた)「例外的経済」として機能してるから。
 美術を「神聖化」したり、美を神聖化する傾向があることで、
労働経済システムの枠から外れて、需給バランスが崩れてしまうとか。
その経済バランスのズレからくる貧窮が、メンタル面で合理化されたり、こじれたりして、
「「貧窮」がないとアートではない」とか「儲かってるのはアートでない」とか、
変な関係になってしまったり…。どこの国でも似たような話なんだなぁ…。
 
 
 これは、欧州の場合だと、「アーティスト」の社会的地位が高いからですが、
日本の場合だと…アーティストって、一般的にそうとう胡散臭い言葉だと思われてるから、
さらに悲惨な状態になってるよなぁ(泣。
 
 
 日本のアニメーターとかの絶望的な貧困状態とか、
周囲の美術系の人や、周囲の文系大学院生の生活の壊れ方とか、
ネット界隈の創作界隈で言うところの「嫌儲」という感覚は、
なんとなくそういう感覚をこじらせた部分もあるのかなぁ…とかいろいろ考えながら、
そして我が身を振り返りながらいろいろ考えてました。
 
Hans Abbing works portfolio 
Hans Abbingさんの作品集。
 
 
 個々の作家が、「リソース注ぎきって」作品作りに没頭してしまうのは
経済学的にはいろいろ不合理なんだろうけど…。
どうもそれが理論でわかっていても、自分も、実際のところ止まらない。
 なにか作品(のようなもの)を「作る側」としては、
「リソース注ぎ尽くして」作品作りに没頭してしまう理由は、
なんとなく肌で理解できるかと思います。
 
 その理由のひとつは、
ハンスさんの指摘通り、アートとかの世界は、過剰に同業者とか仲間とかライバルが多く、やたら過当競争だから。
過剰にリソース投資しないと、ある程度やっていけない部分がある。
けど、それだけじゃないんだろうなぁ。
 
 
 アートの作品作りを経済学的な「競争」モデルに喩えると、
作品の評価軸・評価基準が同業者や評論家たちや一般の観衆聴衆だけではないことが、
この原因のひとつじゃないかなぁ…と私は思ったり。
 
 例えば、「競争」相手が、
自分の中の「納得できるか」や「厳しい審美眼」や「過去の傑作」「未来の傑作」「美術の神様の視線w」だったりすると…
 例えば、仕上がりに"納得がいく"ってのは、最後は自分の内面とのせめぎ合いになるので、
〆切や予算の限界がなければ、大抵の作者だと、徹底的に考え込んでしまい、
可能な限りのリソースをかけて作り込んでしまう。
 
 特に、大きな作品を作りたいと考える場合。
一体どこまで、作品の作り込みや精製や調整をやれば終わるのか…という
「セルフチキンレース」になってしまう。
レースの掛け金は、時間お金機材人脈など総動員w。
 
 自らの内面化した「美術の神様w」が見ている状態だと、
クオリティコントロールが疑心暗鬼になって、
「プロとしての的確な手抜き」を許してくれないというのかなぁ…。
 
 特に、最初の着想のヌケが悪いとか、「意あって力足らず」だと、
往々にしてそういうドツボにはまってしまう。
 

予算と〆切と競争相手がなければ、延々と作り込んでしまう感覚。
そこには、例えばかつてシェンムーという事例があったりするw。
http://twitter.com/rhythmsift/status/5104652308
みたいな感じになってしまうというか…。
 
 
 
Restroom @ Tokyo univ of ART.
 あ、この部分オチはありません。

追記:
11月1日に、都立大学駅そばのTHERME Galleryで、もういちどトークセッションがあるらしい。

トークディスカッション
11月1日(SUN)19:00~
ハンス・アビング博士(アムステルダム大学名誉教授)
なぜアーティストは貧乏なのか?
Why are Artist Poor?

http://therme.exblog.jp/12190076/
THERME GALLERY : テルメギャラリー : ハンス・アビング博士

 気になる方は、是非ご参加下さい。