阿部真大「搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!」結局購入

ISBN:4087203611
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087203611/
 
 購入の決めては、ネットのレビューとかよりも、
同じ筆者が書いていた、この文章。
http://v000085201.securesites.net/ronza/story/200610_2.shtml
若年労働の現場2[ケアワーカー]気力と体力勝負の「聖職」
阿部真大:OPENDOORS:雑誌:論座 
 
 読んでみると、予想以上に出来のいい、優れた本でした。
 おそらく対象読者層として、高校生や専門学校生や、
あまり研究とかに縁がない大学生や現在働いてる人などを想定して、
「実用的な本」を作ることを主眼にしてるのでしょう*1
 
ぜひ中学高校の時に、この本を読んでおきたかった。
多分、当時読んでいたら、進路選択で、もう少し色々考えていたかも。
 集英社新書よりも、岩波ジュニア新書や、岩波新書などのような、
中学高校の図書館に置かれやすい形態で出版された方がよかったかもしれません。
 
 仕事が好きなことに近接している故に、
「薄給*2、健康に悪い、将来性薄い、でもワーカホリック」になって
将来の生活設計とかを考えると色々やばいんだけど、
けどやり甲斐あって居心地がいい"と感じてしまう状態"っていうのは、
今までの労働問題の論文ではあまりとりあげられ無かったジャンルかもしれません。
しかも、その状態を作り出してしまうには「悪人」はいらないってのが大問題。
 
 ソシオロゴスやソシオロジートゥディ誌などに掲載された
論文(多分"ガチ"な学術論文)がベースになっている本なのだそうですが、
いざ読んでみると、予想以上に読みやすい文体&語りかける系の言葉で、
社会学の専門的な知識はあまり必要としない方向で書かれてます。
 
 タイトルの名付けは適切じゃない気がします。これ、実に勿体ない。
 「搾取される若者たち」ってタイトルは、内容とも微妙にずれてるし、
これだと、まだ"痛い目にあってない"若者が読みたくなることはまず無さそう。
それこそ、作中の「ご隠居の小言」みたくウザがられる。

 帯に書かれている『「好きを仕事に」の落とし穴』の方が
内容を表しているような気がしますが…どうなんでしょ?。
 

*1:その為か、冒頭には、「この本の楽しみ方」なんて一節もあります。

*2:時に給料マイナス