「テレビよさようなら」

 mixi森山大道コミュ経由で見つけた、興味深い文章です*1
http://myfriend.tea-nifty.com/documentary_world/2006/03/post_703e.html

 
 「まずたしからしさの世界をすてろ」ってのは、
私の好きな言葉のひとつなんだけど…
 
 「らしさ」を強要するちからってのは、
"資金提供者"*2からすると、
なにか「投資した労力の元を取る」感覚に
近いものがあるのかもしれないと、
ニートとか無職とかしながら5000円のデジタルビデオカメラとか1000円のデジカメで
色々と「たしからしさ」の薄い画像を撮っている私は思いました。
 
「TVらしさ」を強要するちからはどこから生じるのか。
そのひとつが莫大な製作労力・コストの「元を確実にとる」ために
過去の「TVらしさ(ノウハウ)」を、無反省に反復的に使って、
失敗のリスクをなるべく回避するようにするちからであることは間違いありません。
もちろん、その「TVらしさ」を期待している視聴者もいるわけですし、
水戸黄門のようなドラマが「TVらしく」なくなってしまったら
それはそれでかなり問題アリ*3なのですが。
 
 地方局の深夜番組に、時々、ものすごく面白いものがあるのは、
その辺りのしがらみから逃れる隙間があるからかもしれません。
たとえば、「水曜どうでしょう」はいわゆる「TVらしくない」部分も含みますし、
探偵ナイトスクープは関東から見ると「TVらしくない」のか、
関西ほどは受けていないみたいです。
(余談だけど、現代日本的TV番組的なテロップの挿入方法は
探偵ナイトスクープが元祖だったらしいです。WikiPediaに載ってました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A2%E5%81%B5!%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%97 )
  
 
 
 TVのTVらしさってのはなんなのでしょう。
20世紀〜21世紀初頭のTVの場合、機構的には、
発信側と受信側がオンタイム(ほぼ同時刻)で(重要)、
同じ周波数の電波(トレース不可)を介して
大量の匿名人(超重要。cf:海賊ラジオとか)が、
同じの映像・音声を
異なるシチュエーションで体験している(重要)
ことなんだろうなぁと。
 
 そういう意味では、VideoPodCastはTVらしくないかも。
あれはあくまでも映画やDVDやビデオやLDやVHD(w)の延長で。
TVのライブ感とは違いますし、試聴者側にもそういう意識がある。
これ、「いつでも観たい時に観れるよ感」っていうのかなぁ?
 そういう意味で、スポーツの生中継はとてもTVらしいし、
ネットラジオなんてのは、VideoPodCastよりはまだTVらしい。
(ただし、私の体感限定の話ですが。)
 
 
 もうひとつ、インターネットとTVの違い。
 電波のばらまき可能な性質こそがTVの本質のひとつで、
それは、視聴"率"調査や視聴者層のチェックという
試聴側をトレースすることとは本来は絶対的に相矛盾する。
 
 視聴者が匿名で居やすいことはTVやラジオの大きなメリットのひとつです。
アフリカなどでは反体制活動の広報のために
海賊ラジオ局とか「擬装ラジオ*4」が利用されました。
その一方で、電波を送波する側は頑張れば特定可能です。
世界中の様々な国で、強い電波の海賊電波放送(TV・ラジオ)を発信することは
厳しい取り締まりの対象になってます。
特に、日本では、電波絡みの取り締まりが異様に厳しいのか
海賊放送の配信はまず見かけませんし、聞くこともありません。
 確か、日本の場合、海賊TV電波の発信は、
数年前にどこかの山奥から数分間の映像電波が発信された*5それっきりだったかと。
 
 ネット上でのデータのやり取りは、最終的には、
一次配信側の制御の仕方次第で、技術的に確実にトレースできます。
今のところ、制御の方法がうまくいかないので、色々問題が起こってますが、
通信速度が高速化して、ローカルに様々なデータを保存しない端末が
メジャーになってくると、この辺りの流れは一気に代わるはずです。
  
 その一方で、ラジオのリクエストハガキや、
TV番組へのおたよりやメールや苦情の電話のように、
反応(返信)の量や"熱さ"はTVの本質とは矛盾せずに量れて、
そして、共存できるものなのかもしれません。
今までは、TVに代わる機能を持つメディアが世の中になかったから、
TV業界では視聴率をサンプル抽出的にチェックしていて、
それに従って番組が製作されていたのたけど、
将来的にはTVと視聴率の結びつきは今よりも少し薄くなるかもしれません。
ひょっとしたら、TVの枯れた老後wは「ラジオ深夜便」みたいな形になるのかも。
 
 けど、そういう時期になってきた今、
わざわざ地上波デジタル放送(と、ワンセグとか色々)で
個別の視聴者認証を行うのはなんだかなぁ?っていう気もします。
 NHKの受信料徴収による番組製作というモデルは、
根っこの部分で相当の部分、アナログTV独特の「TVらしさ」のひとつを
むりやりねじ曲げているというか、スポイルしている気がします。
なんとなく。
 
 
 あと10年待てば、TVのアナログ放送が停波するから、
その直後に、なんとなく面白いことが起こるかもしれないと思いながら、
おとついは実家に保管してある「ジョイレーダーmarkII」をチェックしてました。
 これ、微弱な電波ですが、UHF13chとかでファミコンのRF出力映像を
周囲数十mに飛ばすことができるんですよ。
 

*1:このサイト、blogの使い方の文法としては少しずれているのが不思議で面白い。コメントで本文を書くってのは、色々狙ってるのか、それとも天然ボケなのかなぁ

*2:カメラを使っている本人も含む

*3:水戸黄門がTVらしくなくなってしまうと、とりあえず、水戸黄門を題材としたお笑いネタが色々使えなくなるんで、今の私が凄く困るw。

*4:国によっては任意の周波数にチューニング可能なラジオの所持が非合法化されていることがある。その為ラジオを「一見、ラジオに見えないように偽装することがあった。詳しくは偽装ラジオの写真集 Voice of AFRICA を参照 http://www.aspect.co.jp/np/details.do?goods_id=70 あるいはISBN:4757207778 あるいはhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757207778/ など。

*5:この話題はラジオライフに載ってました。放映内容は確かポルノ映像だったはず。