ファイル名をリネームするだけで、プログラムを書いたことになる?その時、書き換え元になったファイルの作者の責任は?

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20060317.html#p01
高木浩光@自宅の日記 - 続・作成罪はいらない その2
 
TechWinかなにかの雑誌のおまけの脱衣麻雀ソフトで、
拡張子かファイル名をちょっといじっただけで、
勝利の「ご褒美隠し画像」が、いきなりタイトル直後に
見られてウハウハだったことがあったのを思い出しました。
ファイル名のリネーム自体は、そういう意味では
極めて初歩的で厨な手段ではありますが、hackのひとつです。
 


「ファイル名を変更しただけでもプログラムを作成したと言え、
当該不正指令電磁的記録の作成者は乙であり、甲ではない」
という主張が想定されますが、
ここでポイントとなるのが、紙に書いたプログラムです。
紙に書いたプログラムにファイル名はありません。
一昨年5月の「サイバー犯罪条約関連刑事法改正のセミナーに行ってきた」に
書いていたように、山口厚先生の解説として、

不正指令電磁的記録作成等、取得等の罪について、
「紙に書いたものも該当するのか?」という質問が会場から出たときに、
パネリストの方々から、当然ながら該当するという回答があった。
法文に「次に掲げる電磁的記録その他の記録」とあるように、
わざわざ電磁的記録以外のものも含めているのは、
紙に書いたものも意図しているということだった。
とのことでした。
甲が紙に書いて公表して、乙がそれをバイナリコード化した場合であっても、
甲が作成者だというのです。したがって、delall.vbsの作者が作成罪に問われます。
 
それは理不尽です。これはひどい
 
 じつは、過去にそうした事態を予感させる事件が起きているのです。
2002年6月のこと。「マンキン.exe」というファイル名のプログラムが
どこかのWebサイトに置かれ、そのURLが2ちゃんねる掲示板に貼り付けられました。
これをクリックしてダウンロードし、ダブルクリックで実行する輩が少なからず現れ、
騒ぎとなりました。実行するとすべてのファイルが消去されるものだったからです。
 
マンキン.exe」へのリンクがどのような説明とともに書かれていたかは覚えていません。
「女神降臨!」とか「おまいら実行してください」などと書かれていたのか、
それとも脈絡なく単なるリンクだけが書かれていたのか、覚えていません。
 
ここは、「そんなの実行する奴がバカ」という世論になるべきところでした。
しかし私の願いに反して、「ウイルス騒動」という事態になってしまったのです。
なぜなら、(日本での手厚いサービスが他社との差別化となる)トレンドマイクロ社が、
これを(こんなものを)ウイルスとしてパターン登録した(しやがった)ためです。