物理メディアと律速仕事。「待ち遠しさ」か「飢餓感」か「もどかしさ」か。

 
 売り切れ、品切れということで(飢餓感を演出でき)中期的ブームを作れる
CDとかたまごっち*1なんかの例は
いくらでも送信可能なダウンロード配信ではぶっちゃけありえないんだろうなぁ。
 特に、シングルだと1曲3分、長くてもCD2枚組で2時間強という音楽メディアだと、
この辺りは非常に深刻な問題になるのかも。超速消費時代。
 
 スターがスターであるための莫大なメディア露出と相反する
スターの稀少感(スター本人は"限定品"、そして『独占供給』でコントロールされている)っていう矛盾が、
旧来のレコード会社の戦略というかうまい売り方だったんだけど、
P2Pを使った販売やプロモーションだと、生のライブを除いて
「待ち遠しさ」や「飢餓感」の演出が格別に難しくなる
(注意:待ち遠しさや飢餓感がなくなる訳ではありません。
それらを販売に活用するための適切で効果的な演出が格段に難しくなるのです。)
 
 コミケ限定販売のある大手サークル同人誌売場の熱狂や、
限定テレカの為にアキバの深夜販売に並ぶ「わくわく感」や、
美味しいと評判のチャーハンのお店で料理が出てくるまで待たされる時の期待は、
瞬時に配信されると欠けてしまう快楽です。
 
 そう考えると、20世紀のコンテンツメディア産業(特にオタ産業)は、
有名性と希少性と、それを利用した飢餓感(あるいは「じらし」)の扱いが妙に上手だなと。
ミステリー系小説の犯人・トリック隠しなんてその最たるもの。その巧さはちょっとズルいと思うくらい。
 小説やほとんどのビデオゲームなんて、なんだか広い意味で見たらそれだけで持っているようなものなのかもしれません。
 
 ちなみに、このなかなか手に入らない「もどかしさ」の演出は、
orkutが"招待"というスタイルを採ったことになんらかの新しい流れがあるような予感がします。
 
 自分の中で自己規制(演出)をかけるのもある意味それに近い気がします。
このことは、数年前に片思いして、しばらく待ってひとり盛り上がりして、
その後告って振られて(泣)、その後数年経ってから気がつきました(赤面)。
 

*1:これは、本当に生産が追いつかなかった