ビデオゲームを取り込んだファッション

(This article is written in Japanese.)
 
http://www.gamegirladvance.com/archives/2004/04/15/video_chic.html
Video Chic (from GameGirlAdvance http://www.gamegirladvance.com/ )
 英文ですが、注目の文章です。
この服はテレビゲーム専門のブランドではなく、あのPRADA(プラダ)ですよ!
 もっとも、この文章では、PRADAのデザインについては
ビデオゲームの上っ面を真似ただけで面白くない」と酷評されていました。
(さすが、ハードコアゲーマーが集うGameGirlAdvance。辛口の批評ですね。)
 
 で、このPRADAの動向について色々とネットや雑誌で調べてみました。
久々に雑誌ファッションニューズ*1の最新号を立ち読みしたり、
ネットで色々検索してみたりして、おおよその情報が掴めましたし、
テレビゲームとの面白い共通点を見つけることもできました。
 
 今回のPRADAのコンセプトは

「もし、18世紀絵画の世界にビデオ・ゲームがあったらと考えたの。
それはロマン主義の過去と未来であり、ロマンティシズム究極の夢」

(この項、詳しくは、Fashion News ファッション・ニュース 2004年2月26日の解説を見て下さい
http://ginandit-ld.hp.infoseek.co.jp/news0402c.html)
というもの
 過去と未来を結びつけることが得意なブランドPRADAが、
ドイツのロマン派の画家、カスパル・ダーヴィト・フリードリヒを
現代に蘇らせるための媒介物としてビデオゲーム的な世界観が用いられたそうです。
(ショーの背景美術は「水を湛えた火星の絵」だったそうです。)
 
 しかし、今回の2004-2005秋冬コレクションで
PRADAがわざわざビデオゲームをモチーフにしたのには、
ビデオゲームの世界観だけではなく、"技術"の類似性を表現するという意図、
モニター内とモニター外の技術とノウハウの近さを発見したからではないかと
私は察します。
 
 服へのプリントにロマン派の絵を"そのまま貼り付けて使う"だけでは
PRADA独特のこだわりとしては少々つまらないないですし、
"3次元的で動きのある服"に2次元の絵画のプリントをしても、見栄えが薄い。
そこで、最近のポリゴンRPGや3DFPSゲームの空間設計(背景美術)の幻想的で
"うまいディフォルメ手法"を取り入れた*2のではないかと推測します。
 また、ひょっとすると、縫製した部分でも切れ目のない画像プリントを
デジタル印刷技術を用いることで実現したのかもしれませんし、
もしかしたら、人物ポリゴンモデルの顔や胴体に"歪みの少ないテクスチャ"を貼るための
画像処理(テクスチャー自体をポリゴンの曲面に合わせあらかじめ"歪ませて"おく)の手法を、
実際の服に印刷するプリントを仕上げる手法に援用しているのかもしれません。
(この辺り、実物の服を参照して、手法を調べてみたいものです。) 
 
 しかし、久々に雑誌を見ましたが、雑誌を一通り眺めてみた中でも
PRADAのデザインは相変わらず抜群にクオリティが高いです。
デザインだけでなく、素材加工技術や縫製技術の高さを見せつけてくれます。
 
 
 そして、久々にファッションニューズを見ていてもうひとつ気になったのが
ランチェッティ(Lancetti)の新デザイナー、イカリウスのインタビュー。
「プレステで遊んでいる時にアイデアが浮かんだんだ」と題された
インタビューのタイトルからも判るように、面白いデザインをしています。
 住友3Mと提携して、金属を織り込んだハイテク繊維を用いていたり
素材の風合いにこだわっているところも面白いと感じました。

 ゲーム的手法から派生した3次元の服という面白い考えは
これから、ゲーム内ファッションにも相互に影響を与えるかもしれません。
今後の展開に期待します。

参考:
 繊研新聞PRADAレポート
http://www.senken.co.jp/clrpt/2004a2w/mlnc03.htm
http://www.senken.co.jp/clrpt/2004a2w/mlnm02.htm
 
 繊研新聞のランチェッティ(Lancetti)レポート
http://www.senken.co.jp/clrpt/2004a2w/mlnc05.htm
 
 ELLEオンラインのPRADAレポート
http://www.elle.co.jp/home/fashion/collections/fw2004/show.php?brand=prada
 
 読売新聞のPRADAレポート
http://www.yomiuri.co.jp/collection/milan/prada/main.htm
 

*1:Fashion News 参照:goo 雑誌ナビ http://magnavi.goo.ne.jp/caption/10007424.html

*2:あるいは、服を作っているうちに似通ってきた