Chim↑Pom展「REAL TIMES」みてきた。そして1週間後に感想を書く。

Futou Fukutsu (Never give up!) FAX message from Sunao Tsuboi : Chim↑Pom "Real Times"
不撓不屈 Never give up! 人類の英知を信じる 坪井直
 
http://www.mujin-to.com/press/chimpom_2011.htm
無人島プロダクション:Chim↑Pom展「REAL TIMES」
 
http://www.tokyoartbeat.com/event/2011/4907
TAB イベント - Chim↑Pom 「REAL TIMES」

(2011年6月28日追記:
http://www.shift.jp.org/ja/archives/2011/06/chimpom.html
SHIFT 日本語版 | PEOPLE | チン↑ポム
「REAL TIMES」展出品作品の、Chim↑Pomによる解説が記載されてます
 
http://www.webdice.jp/dice/detail/3097/
webDICE - 骰子の眼
「それはもう完全に現代美術マジック(笑)」
Chim↑Pom グループ・インタビュー )


個人的には空から舞い降りてきて世界を一変させてしまうような
強烈なパワーがある若者にやってほしかったんですね。例の絵画追加の件。
ただ今の日本のこの状況でそんな若者が出てくる訳ないですよね。
カンニングで吊るし上げられて逮捕されて数ヶ月でてこれないようなこの日本ではね。
 
(略)
 
現在のこの日本では原発に関するアート作品というのは
斉藤和義さんやChim↑Pomのように
 
「過去原発についてメッセージ性のある作品を発したアーティストへのオマージュ」
【ただしゲリラ的なイメージを既に確立したアーティストに限る!】
 
になってしまうのでしょうか。
その層しか世間が許さない!って感じがなんかとっても寂しくて怖いなあと感じました。
 

http://orinchan55.blog120.fc2.com/blog-entry-779.html
子連れアート鑑賞日記  無人島プロダクションChim↑Pom展「REAL TIMES」」を観てきました。

 

しかしながら彼らの作品を見る度にいつも頬を赤らめてしまうのです。
観てるこっちが恥ずかしい気持ちになる。ぶっちゃけ痛々しい...。
「じゃあ観なきゃ良いじゃねえか!」という意見もあるでしょうが、
恐ろしい事に彼らの作品はいつも向こうから勝手に視界に入ってくるようなモノばかりなのですよ。
「ピカッ」然り「LEVEL7 feat.明日の神話」然りね。
 
なんつーか彼らが「超面白い!」と思ってやっている活動が
どうしてもボクの了見と合わんのですよ。ちっとも面白いと思えんのです。
お笑い風に言うといつも「スベってる」感じ。彼らは何故いつもスベり続けてしまうんでしょうか...。
(略)
 
「コミュニケーションの欠如」。コレがChim↑Pomの最大の魅力であり、弱点なんだと思いました。
(略)
。今後また東北が完全に復興して「平和」が戻った時にChim↑Pomの作品がまた光り輝くんですよ。
Chim↑Pomの作品観て「またバカやってるよ...野暮だねえ!」と
ニヤニヤ笑って言えるような平和になって欲しいもんだと思いました。

http://d.hatena.ne.jp/dark_side_01/20110522/1306073148
Chim↑Pom「LEVEL7 feat.明日の神話」 - みせもんぞめき!

 

つまりチンポムの内覧会を見たわけだが、チンポムはいつも通りだった。
なので、チンポムを批判したいわけじゃない。
ぼくが最も不快なのは、あれをテキトーに褒める連中だ。
ビカッと今回の作品は明らかにPCアートだ。しかも慎重に棘を抜かれたPCアート。
その意味を考えたことがあるのか。

と言いつつ書くと、今回のチンポムの展示を見て感動したという人は
「現代美術」という制度に感情移入している、ということを自覚したほうがいいと思う。
同じような映像はWeb上に、被災者の方々がアップしている。
にもかかわらず「チンポムがやったことがすげえ」というロジック。

ニコ動とかと比較すると我田引水だ!と言われるだろうからもうやめにするけれど、
今回のChim↑Pom作品を擁護したいアート関係者は、本当に真剣にちゃんと擁護したほうがいいと思う。
「太郎の精神を受け継いだ」とかテキトーなこと言ってないで。マジで。

正直、今日の内覧会の空気はキツかった。みんな安心しきって作品を見ている。談笑している。
なぜ、なぜそんな顔ができる?
今日のギャラリーで確認されたのは、相変わらず日本の「現代美術」の実体の無さ、
そしてその存在をどうしても信じたい人達の不気味な儀式。


http://twitter.com/kaichoo/status/70814781573042176
http://twitter.com/kaichoo/status/70816764858085376
http://twitter.com/kaichoo/status/70894213960712193
http://twitter.com/kaichoo/status/70896164760850432
Twitter / 黒瀬陽平:

 
http://togetter.com/li/140247
Togetter - 「Chim↑Pom『Real Times』展と『明日の神話』“事件”についての桜井圭介さんによる連続ツイート」
 
 初日に行ってきて、
結局会期終了までなんか書く気がせずに1週間寝かせておいてしまい、
いろいろと他の人の感想を読んだのだけど、
これはと感じたレビューが、それはもう極めて少なかった(泣)ので。
会期終了翌日の昼間になんとなく感想を書き始めようと思いました。
逆に言えば、そのくらい色々と、釣りのフックというか仕掛けはされていて、
ただし、その仕掛けが万全にいったかというと…今はよくわからない。
 
"Harmony of flowers which exposed to radiation" : Chim↑Pom "Real Times"
福島第一原発付近の警戒区域で採取した植物などを生け花に仕立て上げた物。
自分がいった初日にはガイガーカウンターは設置されていなかった。
どうやら除線処理はされているとのことだったらしいけど…放射線は浴びた後なんだよなぁ。
Chim↑Pomの言葉と技術力などを信用するかはあなた次第です。自分は少し不安だった。
今回は生け花ということだったけど、もしもこの花が種を付けたら、それを自分の庭にまけますか?
展示のキャプションには「植物は移動できない」と書かれていたけど、
植物は人間や鳥などの動物の力を介して移動することは多々あります。
もしも、Chim↑Pomが持ち帰った花が、遺伝子がすこし壊れた種子を作って、
そこから新品種が発生してたら…案外面白いビジネスになるかもしれません。
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/knowledge/nougyou_temp.html
放射線利用データブック 農業分野への利用 放射線安全研究センター
 
"Level7 feat. myth to tomorrow"  : Chim↑Pom "Real Times"
Chim↑Pom "Real Times"
"LEVEL 7 feat.『明日の神話』"と、奥にある作品"Real Times"への入り口。
このカーテンが、東京渋谷の映像と福島原発の隔絶を象徴的に表す"鳥居"になってる。
奥にある映像"Real Times"の脇には、AC/DCの"dirty deeds done dirt cheap"の歌詞が書かれていたらしい。

どんな仕事でも安く請け負うぜ
どいつもこいつも、二束三文でヤッてやるよ

http://toppoi.blog54.fc2.com/blog-entry-492.html
Dirty Deeds Done Dirt Cheap D4Cの和訳歌詞 いともたやすく行われるえげつない行為 とっぽい。

"安く請け負うぜ"…言うまでもなく、これはChim↑Pomの自虐ネタwでしょう。
そもそも"安く請け負う"からにはそれなりの手法しか期待できない。
 
 
 
 まず最初に注意しておくべきことは、
Chim↑Pomの展示で「そこに置かれている作品」はあくまでもプロセスの成果のひとつで、
作品の仕上げの美的クオリティ(品質)はさほど重視されていないであろうこと。
絵画作品や彫刻作品を鑑賞しに行く感じで行くと、入り口で500円払った後でブチ切れますw。
そしてマスコミで話題になってる"LEVEL 7 feat.『明日の神話』"も、
渋谷の岡本太郎の『明日の神話』の脇に展示された絵そのものではなく、それのレプリカ*1
 
 なので、Chim↑Pomを知らない人がいわゆるふつーの美術展を期待していくと、
ぼろっちー花と、汚れた額縁入ったに小さな写真たちとわかりにくいオブジェと、
そして結構ダサイ(そう、映像がかなり素人臭くてダサイ)映像があるだけの状態になっています。
今回の展示、美的センスやユーモアについては、Chim↑Pom初心者向けの「わかりやすいガイド」は必須だったと思う。
 
 
Futou Fukutsu (Never give up!) FAX message from Sunao Tsuboi : Chim↑Pom "Real Times"
日本原水爆被害者団体協議会坪井直さんの送ってきたFAXメッセージ
http://www.ne.jp/asahi/hidankyo/nihon/about/about1-01.html
なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか

なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか

Chim↑Pom "Real Times" book seller booth
会場出口では、しっかりした物販コーナーが。
この狭い会場の展示の割には、販売ブツが多い。
Chim↑Pomもかなり場数を踏んできたんだなぁ…。
 
Kiai 100 renpatsu (100 yell firing in rapid succession): Chim↑Pom "Real Times"
Kiai 100 renpatsu (100 yell firing in rapid succession): Chim↑Pom "Real Times"
"気合い100連発"
これが撮影された場所は、原発のそばの展望台"ではない"場所、つまり、"Real Times"の撮影地ではない場所です。
防護服必須の立入禁止区域ではなく、被災地の人も参加できる場所で撮影したかったんだと思う。
カメラの置き位置と、切り替わるタイミングはちょっと独特で、
遠隔操作の「監視カメラ」の自動切り替え映像のような印象を与える。
この"気合い100連発"音声のCDRが来場者へのお土産として渡された。
 
 
 映像の使い方は、
"LEVEL 7 feat.『明日の神話』"・"Real Times"・"気合い100連発"ともに
さほど上手い編集ではありませんでした。
"LEVEL 7 feat.『明日の神話』"はとてもわかりやすい説明映像。
"Real Times"は、少しストーリー性や緊迫感があった…けど基本は説明映像。
 "気合い100連発"のカメラ位置とカメラの切り替えタイミングには
ある種の編集の悪意を感じるほどにびみょーな切り替え。
おそらく、コンビニや原発内部などの"異変監視カメラ映像"を意識してるけど、
そもそも天変地異が起こった後の場所で監視カメラ的なことをしても意味あるのかな。
 
Chim↑Pom "Real Times"
映像があると、ついつい見てしまうんだろうけど…そっちは見事にデコイだよ。
 
Japan dog (Explanation):  Chim↑Pom "Real Times"
写真「日本犬」の説明書き 
 現場で展示されていた様々な写真に関しては
Chim↑Pomらしいユーモアがまだ出せる段階ないと言う印象が。
撮り方としては、まだ、ストレートでシリアスにしか撮れないんだと思う。
汚した額装で照れ隠しというか色々とごまかしてますが、
写真という表現方法だと、まだ笑い飛ばして昇華できる段階じゃないんだろうなぁ。
写真で黒いユーモアをやるのは、まだまだ結構難しいです。
 
 
 東日本大震災で起こった災害には大きく分けて2種類あって、
地震津波の直接的な天災被害と、その地震津波によって色々ブッ壊れた原子力発電所の人災。
原発事故の問題は今回のChim↑Pomのメインターゲットになってるけど、
そいつを扱うためには必ず元になった地震津波の直接的な天災被害も引きずってしまう。
(逆に言えば、原発の管理者たちはその地震津波を「想定外」の免責の口実にしてるんだけど。)
 
 Chim↑Pomの切れ味が、普段よりもいまいち良くない
…というか、今回は特にかなりショボーンで残念感が色々漂うのは、
原発事故の問題と地震津波の直接的な天災被害がmixされてしまってる部分を
まだまだうまく扱いきれていないのかなぁ…という印象もありました。
(単なる原発事故だけだったら、彼らなら、もっと色々冴えたやり方ができたはず。)
けど、ブザマで"安い仕事"だけど、露払いの仕事を現場でしたというのは大きいです、
ゼロでもマイナス(退却)でもなかった、わずかだけど進んでる、わずかだけど(泣)。
少なくとも、チャリティとか無償のボランティアとかに関する悪意だけはしっかり感じられたw

Chim↑Pomの展示、よかったのは入場料制にしていたことと、
いわゆる「チャリティーイベント」感とはしっかり一線を画してたこと

作品を一箇所に展示して、入り口でカネを払わせる>興醒めしたあとも
じっくり向き合わせるという意味で、
映画館的ないい拘束力(逃げにくい・つき合わされる)が成立していた

「少々のお金・コストを一旦払ってしまたたから、
そこ(ギャラリー・罹災地・原発・東京・日本…などなど)から
逃げ出すのが遅れてしまう」感の上手い演出は、
Chim↑Pomの狙い通りなのかわからないけど、
自分は結構エグい演出だなぁと思った。

500円の身銭を切って体験していない人は、体験としてかなりのロスをしていると思うんだなぁ
…いろいろな「残念感やガッカリ感や途方に暮れる」感を含めての展示として、
ショボーン体験したけど、こんなひどい感想は会期中に書けないwので今書いた
 

twitter:rhythmsift(すいづたくみ)
http://twitter.com/rhythmsift/status/73580263447339010
http://twitter.com/rhythmsift/status/73581266133450753
http://twitter.com/rhythmsift/status/73582082596667392
http://twitter.com/rhythmsift/status/73583045323669504

 
 初回から全部上手くいくなんて、期待してる方がむしろおかしい。
 
 今回の原発事故では、東京電力や日本政府や様々な組織たちが、
それこそ国を挙げて(いや、全世界が)全力を尽くして対処してる今でも、
これだけ色々とグダグダ上手くいかないんだから、
現代美術だけがスマートにうまくやれるなんて考えるのは、虫が良すぎますよw
 
 最初はショボーンだけど、そこから色々あって
それなりにリカバリ効かせられる可能性があるのがChim↑Pomの展示作品の面白さで、
数年後・数十年後にこの個展の資料を観たときには、評価は良くなっているかもしれません。

 そうなるかどうかは今の自分にはよくわからないし、
Chim↑Pomを踏み台にしてそこをうまくすり抜けて越えていく、
新しい様々な何かが出てきた方が面白いかも知れません。
 

*1:同じデザインの作品(半身)は、現在恐らく警視庁に証拠品・あるいは遺失物?として保管されていると思われます…しかし、この場合、どちらがどちらを模倣したレプリカ扱いなんだろう…。