『たのしい写真』ホンマタカシ(平凡社)

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文筆家・大竹昭子の書評ブログ


「決定的瞬間」では、小型カメラで動くものをとらえるので、シャッタースピードは速くなるが、
「ニューカラー」では大型カメラを三脚に据えて撮ることが多いので、
シャッターを好きなだけ長く開けておくことができる。
同じ写真でも、そこに焼き付けられた時間は、
一方は125分の1秒ほど、もう一方は何分にもわたるというふうに、大きな開きがあるのだ。
 
ものを長く見つめれば、より多くものもが見えてくる。
反対に瞬間的に見れば、意識の網にかかったものだけが見える。
どちらが正しいというのではなく、両者では視覚のメカニズムが異なってくる。
このことに気付くと、
小型カメラでスナップするか、大型カメラに三脚を付けて撮るかという選択に、
意識的にならざるを得ないだろう。
 
 デジカメのすばらしい特徴のひとつは、
撮影する"直前"に任意のISO感度を設定できるという機能があること。
 今時の一眼レフカメラだと、使い方次第では、
5段分〜7段分のシャッタースピードが瞬時に可変できる。
 
 新宿の街をDSC-R1を持って移動しているときには、
シャッターボタンのそばにあるISO感度変更ボタンを頻繁にいじる。
日向と日陰の間を移動してる時とか。
 
 
 多分、誰かがこの特徴を活かして、なにか作品を作っていそう。