キャズム会議『健康家電とネットの今とこれから』行ってきた。

 休みがあったので。「ネットに一番親和性が高いデジカメ」で
ベンチャーを立ち上げている和蓮和尚さんが主催する、
キャズム会議Vol.3『健康家電とネットの今とこれから』に参加するために、
渋谷の領域wまで行ってきました。
「ネットに一番親和性が高いデジカメ」のコンセプトはこちら。
http://v.japan.cnet.com/news/article/story/0,2000067548,20374323,00.htm
デジカメ時代の「写ルンです」作る--人気ブロガーが設立したネット家電ベンチャー、本格始動 - VENTURE VIEW
 
 内容のまとめに関しては、
ホスト本人さんがまとめているのでバッサリと略。
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20080903/p1
キャズム会議 Vol.3終了 まとめ - キャズムを超えろ!
 
 
 その日の昼間にセブンイレブンで買ったメモ帳に、
話を聞きながら個人的にメモ書き*1してたことを、
当たり障りの無さそうな範囲で。
(以下、おいらのメモ書きなので講演者の発言とはあまり関係ありません。)
 
・健康系ネット対応生活家電は、各メーカーが色々出しているが、
機器の初期費用が高すぎるのと、月々のランニングコストが「やけに高い」。
課金モデルに携帯電話サービスをデフォで使うのはアリだと思うが、
課金サービスに持っていく最初の一手間が大変そう。
 
Wii FITは、体重計としての「例外部分がある」とのこと。
 体重計のような「はかり」には計量法という法律があって、
測定重量をごまかさないようにするために、
"必ず"計量パラメータを表示するユニットが付属している必要がある。
 これが、体組成系のように測定パラメータが多い商品での
UI作成のためのの厄介なしばり(表示部がごちゃごちゃしすぎる)になっていて、
 Wii FITのように"別付けのモニター"でスマートに表示する装置を作ることはできなかった。
そこに、任天堂のような大企業が「特例」として風穴を空けてくれた。
 
・特小(特定小電力)チップを使う利点。
 コードレス電話やトランシーバーなどで使われている帯域のことです。
 
 無線LANなどで使う無線と周波数帯域が違うので、
3階建ての建物の端から端でもなんとか通じる。コンクリート壁も結構抜ける。
体重計が設置されることが多いお風呂場と、
ネット端末の置き場であるリビングとの間でもしっかり電波が通る。
 逆に言えば、これだけ電波が飛ぶ場合、
同じ端末を持つ隣人と混線してしまったり、
昔のアナログコードレス電話盗聴よろしく
同じ端末を持つ隣人からデータ抜かれる危険性もある。
 タニタでは無線対応機器一式を出荷する際に
「必ずペアリングを手動で行って」販売しているとのこと。
  
 初期設定でペアリング必須ってのは、
家電としてはさすがにめんどくさいなぁ…と思うと同時に、
このペアリングを思いっきりイージーにできる装置と共同規格を誰かが開発すれば
一生ウハウハものですなw&一気にネット生活家電の普及が進みそう。
 無線LANだとwi-fiAOSS*2のような先例があるけど、
家電で共通規格ができるのに時間がかかりそうだなぁ。かなりのお金動くし。
 
・医療系測定機器製品では、統計データをもとにした推測数値を法律上表示できないので、
様々な推測数値の表記はいつも「寸止め対応」しているw。
実際はかな〜り細かく推測できるのだけど。
 
 また、データに基づくアドバイスをやりすぎると、
それが医療行為にあたってしまうので、
ユーザーデータに"合わせすぎたサイトの広告づくり"とかは自重する必要がある。
 例えば、集めたヘルスデータを元に、
顧客の最寄りの専門医(肥満専門医とか)を
ダイレクトに紹介する行為なんかはアウトらしい。
 ネット広告モデルの稼ぎ頭になっている
紹介(仲介)業務ができないのは結構辛いなぁ。
 
ブレインストーミングでの雑感。
 健康家電のAPI提供するのは面白そうなんだが、
ヘルスデータってのはやり方次第でお金に直結できるので、
セキュリティ面で信頼できない会社にデータを渡すのは"ちょっと怖い"。
 
 娯楽分野ならベンチャー企業が参入するのは容易かも知れないが、
シリアスな情報をベンチャー企業に提供するには
二の足を踏む一般人(除くgeek)が多いんじゃないかなぁ?
 たとえば、心拍数ひとつとってみても、
不整脈らしき数値が見つかったというデータは金になる。
 
 特に、健康に興味を持っていて、
ネット健康家電を買うほどにはお金を持っている(ちょいリッチ)層って、
ブランドや有名人にやたら弱くて、不安商法にも結構弱そうで、
情報に少し疎くてみたいなところありそうで、
健康食品とかわけわかんない健康器具のspamとか送り込まれると、
いろいろありそうな印象がある(<思いっきり偏見w)。
この辺はちょっと気を抜くと、
大手の家電業界ですら魔界ワードが頻出してくる、
マイナスイオンとかどうなんだろ?。
関連するかもしれないリンク:


医学にとっての健康とは、ちょうど「ドーナツの中心」みたいなもので、
そこにはそもそも医師の居場所はないし、
これからもたぶん、医療は「健康」を定義できない。
 
「健康」は、だから地図のない、またどこか中心を目指す必要のない場所なんだけれど、
健康を「追求」したいと思ったその時点で、その場所は魔界に変貌して、
誰もが納得できるような「中心」は、やっぱりどこにも見つからない。
 
靴とか寝具、椅子のデザイン、栄養だとか、生活習慣、運動のやりかた、健康食品。
何となく医療っぽい、
でも今のところそこに医師がいない分野は、「健康」の周辺にはたくさんあって、
「医学の言葉で健康を語る」ことが実現されると、
この分野には医師免許持った人間の千年王国が築けるぐらいに
広大な経済圏が広がっている。
 
えらい人の言葉一つで、広大なマーケットを医師が独占できるのに、
この分野は、キノコや水売る人だとか、
整体だとかカイロプラティックだとか、
医療じゃない人達にやられっぱなし。

http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/87
「医学的」は案外狭い - レジデント初期研修用資料

 




 そう考えるとネット健康家電では、
大企業中心・高信頼性で固めるハイブランド*3と、
広告アリでわらわらと出てくるベンチャー(+google層)+中小企業グループ層*4
2層分離するんじゃないかなぁという予感がする?
どちらに売り込むかで、商売のやり方はかなり変わるんだろうなぁ。
 
 
 あるいは、
場所や期間を限定しての情報解析・提供サービスというのもいいかもしれない。
健康管理のための測定だと長期間に渡っての継続調査が必須なんだけど、
 医学ではなく、エンターテイメントとして考えると、
モニター扱いで「1週間〜1ヶ月程度」測定するだけでも面白いかも。
 短期間の機器試用だと、機器買い切りだとコストがてきめん高くなるので
機器のレンタル・メンテが確実にできる場所・管理者がいるところで、
データをむやみに公開しない信頼性が担保される場所(信頼直結ビジネス)で、
さらに数値データ公開することが即口コミでお金に繋がりそうな場所となると…
…と私が考えて出したのが、


癒し系旅行でモニター客に体温計.心拍数を貸し出して、
ツアー客の旅のリラックス度合が[数値]でわかるようにする
旅行者にとっては「こんなにリラックスできたんだ」というのを
数値で把握してもらって「おトク感」などを演出、リピーターにつなげる。
その数値を旅行会社がWebにのせて、新規顧客開拓に使う、というidea。
うまくやればすぐにでも実現できそう。
 医療系旅行というのは、
短期では「人間ドッグツアー」とか「健康旅行」とかで
似たようなことやってそうだけど、
長期滞在型リゾート(旅館)でやると面白そうなんだよなぁ。
ネットで数値公開するといろいろ引っかかりそうだけど、
blog形式で宿の様子とかとセットで公開すると面白そう。
 
 アイデアのなかで、自分が参った〜と思ったのは、
「健康家電」という括りを外してしまって、
「感情(動物的生理反応)測定器」という斜め上の方向にいってしまった、

ニコニコ動画というWebサービスに心拍数のデータを送って
ドキドキ感を共有する仕組み.盛り上がっているのは自分だけなの?とハラハラして楽しい!?
(中略)
"コーフンしたら負け"とかいうタイトルで、
ちょっとマニアックなフェチ動画がUPされて...なんて流れも面白いかも。
まぁもっと安くて誰でも購入できるようなDeviceがないと盛り上がる、まではいかないと思うが。
みたいな、アホな流れに行くのは面白いと思う。
「「ルイズたんハァハァ…ふぅ」はどちらかというと健康に悪そうなところ」がさらにいいし、
数値いじって心拍数3000BPM(当然チート)な厨が大量に出現しそうな不謹慎なところwもいいし、
精度そこそこの心拍数計でも安静時に長時間データをとれれば、不整脈の兆候ぐらいはわかる。
ネタで付けた検査機器でリアル疾患がわかってしまう可能性もある。
 
 
・企業向け福利厚生・社員の健康管理モデルとしての健康家電は面白そう。
 BtoBで商売やったり、共済と組んでいろいろビジネスやるってのは面白そう。
 
(追記)
・測る・量る記録する目標が違う
 医療(測定)器具で測る場合はより"平常値"(理想値)であることやが期待されて、
だからこそ毎日定時にはかり続けることが重要なんだけど、
 エンタテイメント要素のある器具で測る数値は、
面白い"特異値"気味なことが期待されるので、
ぶっちゃけ異常値が出る環境で使うくらいの方が面白いw。
 例えば、歩数計なんて、
通勤を毎日同じルートで同じ程度歩く人だったりすると、
一回測ると、通勤ルートを変えない限り誤差はさほど出ない。
 エンターテイメントとしては
ちょっと異なる通勤ルートを促す(数値を変える)ために使うというのは定番だし、
あるいは激しくDDRやるときに歩数計付けるととんでもないことになるみたいな使用法。
片方はまったくもって健康的で、片方は激しくエクストリーム。
 
 このアンバランス感覚が絶妙に組合わさるとおもしろいんだろうなぁ。
 

*1:余談:7割方の参加者がノートではなくノートPC持参だった。しかも、NETBOOK+e-mobile率が異様に高い!

*2:バッファロー無線LAN機器とゲーム機

*3:イメージとしては、家庭にジョーバと40万円以上のマッサージ椅子と雑誌通販で買ったタケダの健康食品と、お風呂テレビがある。

*4:イメージとしてはロデオボーイとかドンキで売ってるあの辺の商品