「ハリガミマンガ」

 ふと他の人の日記を読んでいて思い出した。
 とても面白い形態だったので転載。
 
http://genbaken.com/genbaken/minutes0510.html
web complex 2005年10月8日 「現場」研究会討議記録


[「ハリガミマンガ」について]
ハリガミマンガが貼られる場所は決まっていて、
福岡市の天神や大名など、若者の集まる通りに限定できる。
主に電柱やビルの壁などに貼られていた。
マンガ裏面の四つ角に丸めたガムテープをつけている。
この貼り方では、一日もてばいい方で、
実際に見ていると半日程で剥がされてしまう程だ。
貼られる時間帯を調査したら、朝7時頃には既にあった。
後に展覧会をすることになりガンジ&ガラメに取材をした時に判明した
(福住氏は展覧会まで本人たちと会ったことがなかった)。
ガンジ&ガラメの一人がコンビニで深夜働いていたことがあって、
店でコピーをして休憩中に貼っていたようだ。
 
本人たちにインタビューしたところ、
連載が交互に描かれていたことが判明した。
1話目をガラメが描いたら、2話目をガンジ、3話目ガラメ・・・・というように、
まるで連歌のように、相手の出方で話を付け足しながら展開していく形式だ。
 
絵についてだが、連載を重ねるうちにだんだんとうまくなっている。
特に30話あたりで絵に工夫が見られるようになる。
本人たちも描いていくうちの慣れがあったようだ。
マンガの質が高くなる。元々2人の絵柄は似ていたが、2人してうまくなっていった。
ストーリーが夢の世界に入る時期と絵がうまくなる時期が
だいだい重なっているのはおもしろい。
特に、鼻孔の中に入っていくシーンあたり。
「身体と宇宙」というモチーフは決してめずらしくないが、
メルロ・ポンティなど現代思想に精通していない素人である彼らが
それをやることには興味がある。
ガンジ&ガラメのうち一人は、現在マンガ家を目指し始めた。
(彼は印刷会社のサラリーマンをしている。
ちなみに相方は地元で活動するバンドのベーシストだ。)
 
ハリガミマンガ「サンパクガン」は40話で終わっている。
それを都市の監視や排除の力が強くなった時期
――福岡での世界水泳をきっかけとした街のクリーン化計画、
路上監視員制度の導入など――との関わりで考えていたが、
実は仲間内(コミュニティ)の中で正体がバレてしまったので、
面白くなくなったから止めたという事情であったようだ。
 
 このあと、マンガの作者「ではない」この文の筆者が、
このハリガミマンガ「サンパクガン」を扱った展覧会を
ギャラリーで行うことになることまで書いてあります。
 
これ、当時の福岡だからこそできた、面白いことだと思う。