ほとんどすべての量産製品向け技術開発は、ヘタレな使い手を救うためにある。

 私の叔母さんが、私の貸したカシオのEX-Z55を使って京都で撮ってきた
170枚近くの写真を、一枚一枚細かくチェックしながら色々考えました。
デジタルカメラって、やっぱり、カメラ慣れしてない一般人には
まだまだ扱いが相当難しい機械です。

 ちなみに、この叔母さん、
カメラ使いに関してはど素人で、どの位ど素人かというと、
この京都旅行で撮った200枚の写真の中に
「光学ズーム」を使って撮った写真が1枚もなかったりします。
(せっかく、手書きの図まで用意して操作方法教えたのに…)
 EX-Z55のワイド端が35mm相当と狭くて助かりました。
これが広角端31mm相当とかだと、さすがに観られたもんじゃない。
 
 こんな人なんで、露出補正やホワイトバランスは何それ?状態。
逆光補正、マクロ設定はもちろん出来ません。
 ほとんどの設定をフルオートにしておいたのと、
電源offで設定がほぼデフォルトに戻るようにしておいて本当に良かったです。
 しかし、最近のデジカメって、えらい!賢い!
こんな叔母さんが使っても、7割方は上手く撮れてます
…けど、3割の画像は色とか明るさを補正しなきゃいけませんでした。
 
 で、感想。
基本になる性能のハイスペック化は、
ハイアマには必要なさそうなレベルでも
ど素人向けにこそ必要になるんだろうなぁと。
特にコンパクトなデジタルカメラでは。
 
 まず、大延ばしプリントには生涯縁がなさそうな人でも、
場合によっては800万画素程度の高画素CCDが必要です。
なぜなら、寄れない被写体でも「ズームすらしてくれない」ので、
撮影後に、撮影面積の8割近くを捨てるほどの
激しいトリミング処理が必要になることがしばしばあります。
800万画素の2割は…160万画素。これはL版プリントでもぎりぎり。
 もちろん、こんな激しいトリミングを中心部以外で行う場合には、
周辺歪曲の少ないレンズが必要になります。
 
 手ブレ対策の高感度&ある程度明るいレンズや、
機械式・電子式の手ブレ補正機能も必要になりそうです。
 …っていうか、なにをどうすれば、
晴れた昼間にシャッタースピード500分の1秒で記念撮影するのに
ここまで思いっきり画像がブレてるんでしょ?謎すぎる。
 
 そして、最大の問題が撮影後のプリント自由度の高さ。
 大衆向けのコンデジにこそ、広いラチチュードと、
色味の補正が簡単に使えるRAWモードが必要なんじゃないかなぁ?
 例えば、昼間の順光状態で記念撮影したときに、
汗を軽くかいたおでこがことごとく全部白飛びしてるjpeg画像は
ソフトだけではどうにも救えません(レタッチではごまかせる)。
 これ、オーバーに強いネガフィルムなら
なんとかデータがあって救えたかもしれない。
 
 また、寺や神社のような特殊な色彩環境で200枚近く撮れば、
さすがに何枚かはオートホワイトバランスが大失敗してます。
お寺の庭木の黄緑色と赤味が飽和してるはずの毛氈に引っ張られて
色バランスが狂って、石庭の白い砂利が真っ青に写っていたのは驚きました。
 
 そして、1枚1枚のコストが高かったフィルム世代なので、
失敗に備えて何枚も撮影するなんてまったく考えない。
理想的には、100枚撮って100枚が撮影成功していることが求められるので、
安全のためのマージンは多ければ多いほど後処理が楽なんです。