「欲しいと思った人が、「欲望に負ける価格」とはいくらくらいなのか、と考えたのです。」

http://alao.cocolog-nifty.com/the_eye_forget/2006/10/01_8af4.html
THE EYE FORGET(横木安良夫): 写真集の作られ方 Vol.01
 


その結果コーリティの高い、オリジナルプリントを買う層が、
決してコレクターではない人たちの間に、確実にあることを知ったのです。
そういう意味で日本には、アート写真の市場がないのではなく、
福川氏の考えは立証されたかたちになりました。
僕は、市場の確立していない、日本では、
今、海外では、このぐらいの価格だということを無視しました。
 
それより、この写真好きだな、と思ったとき、いくらだったら買うか、
欲しいと思った人が、「欲望に負ける価格」とはいくらくらいなのか、と考えたのです。
もちろん、その価格で生活できることはないでしょう。
 
(チョイ略)

そして不思議なことに、一枚のプリントを買った人は、
やがて他の写真も、そして銀塩のプリントも欲しくなるのです。
それこそが、資本主義社会の不思議、
知ることによって、知られることによって、購買意欲が沸く経済原理の実践です。
・・・僕はようやく、アートを売り側、買う側のヒントをつかんだ気になったのです。
だから、日本人は、写真なんか買わない、ということは、ありえないのです。
結局買いたいものがない、というのが結論でしょう。