「プロジェクト管理の失敗を、現場の過重労働でかろうじてカバーするというのは、決して誇るべきことではない。むしろ失敗事例として研究すべき対象だろう。」

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/bookreview/01/04.html
デスマーチ第2版[書評]第1回/SAFETY JAPAN/日経BP
 
 書籍『デスマーチ』第2版が出てたんですね。
この本は本当に参考になる名著です。
読んだことのない人は、是非ご一読を。
 


 つらい労働とプロジェクトの成功。そこに因果関係はあるのだろうか。
むしろ過重労働はミスを誘発するのでプロジェクトにとっては危険因子である。
しかし、「自分の苦痛をどこかにいる神に供物として捧げれば
プロジェクトは成功する」というアニミズム的感覚を、
我々は心のどこかに宿していないだろうか。
 
(中略)
 
 少し考えれば、この構図が欺瞞(ぎまん)であることはすぐ分かる。
「男たちの逆転をかけたドラマ」を仕掛けなければならないという時点で、
すでにプロジェクト管理は失敗しているのだから。
 
 プロジェクト管理の失敗を、
現場の過重労働でかろうじてカバーするというのは、
決して誇るべきことではない。
むしろ失敗事例として研究すべき対象だろう。
では、そんな事例に、なぜ我々は涙してしまったのだろうか。
そこには「本当に意味のある労働」と、
「なんだかよく分からないプロジェクトの神に捧げる供物としての重労働」を
混同する、我々の心性があったのではないか。
 
(中略)
 
 なぜ「失敗しかけたデスマーチを男たちが救う」
というフォーマットに感動し涙したのか。
番組は終了したが、我々は忘れることなく考えていくことが必要だろう。
なにしろ、9 to 5 の勤務を維持しても成功するのが
本当に優れたプロジェクト管理というものなのだから。
 
情報元:アンカテ(Uncategorizable Blog)
連続的で不可視の「プロジェクトX」たち
http://d.hatena.ne.jp/essa/20060612/p1