デジタルテレビに潜む危険と脆弱性

http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0508/29/news005.html
ITmediaアンカーデスク:小寺信良
 


今回、一般的に言われる故障ともっとも異なっている点は、
故障の原因が「製造過程や設計による、機械的なものではない」というところにある。
 
(中略)
 
まさかデジタルテレビがこれほどまでに脆弱なシステムであるとは、予想していなかった。
本来は社会へと開かれた家庭の窓であるべきテレビが、
一夜にして何ひとつ機能しなくなるという現実が、ここにある。
 
 物騒な考え方をすれば、悪意を持った誰かがメディアテロを起こそうとすれば、
結構簡単なのではないかとも思える。
全国で一斉に強力な違法電波を送信して、
テレビのファームウェアを破壊するようなデータを送信してしまえば、
日本中のテレビが役に立たなくなる。
そんな可能性はまったくゼロであると、果たして言い切れるだろうか。
 
(中略)
 
ハードウェアをソフトウェアが制御するタイプの製品である
デジタルテレビが怖いのは、何かの脅威に対して
ユーザーが対抗できる手段がまったくないところにある。
また今頃になって実態調査を始めたようなことから、
メーカーにも政府にも、
テレビがハッキングやクラッキングの対象となるところまでは、
考えが至っていなかったのだろう。
 
(中略) 
  
すべてのテレビがデジタル化されたとき、筆者が心配するのは、
災害時の緊急報道である。
 
 例えば昨年の新潟中越地震のときに、
筆者は現場入りしていろいろな現状を見てきた。
のだが、そのときの経験からすれば、
被災者にとってテレビによる情報提供というのは非常に重要だ。
避難場所にどこかからテレビを引っ張ってきてアンテナさえ立てれば、
とりあえずなんか映る、というぐらいレガシーな部分を残しておかないと、
放送というのは役に立たないのではないか。
 そういえば、防災用に携帯ラジオと
小型の携帯テレビを一緒に持っている人って
どの位いるんでしょうか?公民館のTVとかってのも気になる。