人はなぜ音楽を買うのか

http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0508/22/news004.html
ITmediaアンカーデスク:小寺信良
 面白い概念が提示されてます。
 


 そこで満たされるものは、
おそらく「参加欲」とでも言うべき感情ではないかと思う。
つまりお金を払ってコンテンツを購入したことで、
そのコンテンツの体験会に参加した、
という意識を高めることができる。
 
(中略)
 
 コンテンツをパッケージ化するという手段は、
何度でも再生できるという別の利便性を生んだ。
購入すれば何度でも再生できるという仕組みが、
コンテンツを求める原動力をより加速したのである。
 
 音楽というコンテンツには、あまりにも膨大な情報が含まれている。
複数の音色、複数のリズム、複数の旋律、そして言葉。
これらが時間的に変化していくものを、人間の脳はまるごと暗記できない。
だが反復して体験することで、次第にそのエッセンスを記憶していく。
旋律や言葉から来るイメージをリアルタイムで脳内に投影したり、
あるいは演奏家の姿を思い描く作業などを行なった結果、
そのコンテンツの細かいニュアンスまで把握していく。
 
 反復して体験するという機能を利用することによって、
新たにコンテンツを把握するための欲、
敢えてグロテスクな表現を用いるならば、
そこには「咀嚼欲(そしゃくよく)」とでも呼ぶべき感情が
発生しているのではないだろうか。
そして咀嚼することで、その作品を自分自身の精神的な成長の糧として
利用するわけである。
 
 逆の言い方をすれば、咀嚼するには何度でも繰り返し再生する必要がある。
我々はパッケージを所有してしまえば、
自分にはいつでも何度でも再生する権利が発生すると思っている。
そして欲というのは、基本的に時と場所を選ばない。
 
 したがって購入したコンテンツが、
「ダウンロードしたPCでしか聴けません」、
「音楽CDを作るなんてとんでもありません」などという制限がかかると、
咀嚼欲を制限された不満足感を感じる。
欲とは、自制する分には健全だが、
他者から制限されると反発を生むものである。
 
 前半部と合わせるとなにげに、
邦楽コンテンツに対して悪口を言っている気がする。