視聴率偏重主義が破壊する番組制作の常識

http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0505/23/news027.html
ITmediaアンカーデスク:小寺信良

 
 さほど視聴率の良くない番組が、どうして長寿番組と成り得たのか。
その秘密は、番組の「質」にある。
番組自体が何かのブームにさらされるわけでもなく、時事ネタを扱うわけでもない。
毒にも薬にも、という考え方を当てはめれば、
ある人によっては薬にもなるが、誰にとっても毒にはならぬ、とういうタイプだ。
人気も安定しており、番組イメージが非常に良質である。
 
 このような番組は、実はスポンサーになりたがる企業が後を絶たない。
番組内の広告枠は決まっているため、
常に数社の企業がその枠の順番待ちをしているほどである。
こちらから営業しなくても広告がどんどん入ってくる番組を、みすみす潰すことはない。
テレビ番組とはそういうものなのである。
 
 企業にとって、さほど視聴率を取らない番組のスポンサーになるメリットは何か。
それは、会社のパンフレットや社員の名刺の裏に、
「あの有名長寿番組のスポンサー」という一文が載せられるからである。
 
 番組イメージがステータスとなり、
番組スポンサー料という広告費が、今度は別の次元で広告効果を生むのだ。
考えてみれば非常に複雑な産業構造である。
スポンサー料がいくらかは知らないが、普通は視聴率が低ければ広告費も安いので、
費用対効果としてはかえって多くの視聴率を取らない方が、オイシイともいえる。