デジタルコンテンツと個人ライセンスとバイオメトリクスと死後の「遺産相続」。

 ある特定のデジタルコンテンツ(例えば音楽)のライセンスが
「特定個人の個人使用」でのみ許可された使用形態の場合、
もしもその個人が死んじゃった場合にはこのコンテンツはどう「遺産相続」されるのでしょうか?
これは、法律的に"やらしい"問題になるような気がします。
 例えば、レコードやCDや絵画は、持ち主の死後に価値を計られて換金されたり、
あるいは形見分けされたりして相続されます。山林や家やTVや宝石とかも。
 しかし、例えばiTuneストアで買ったiPodの中の曲や、
オンラインショップで購入したmp3(認証付き)ファイルや
特定のソフトウェアの使用なんかはどうなるのでしょう。
また、特定個人に使用を許可されたメディアアート作品は?
 
 もしも、個人向けのライセンスがアクティベーション方式で「厳密に」管理されるようになったら、
特定個人が死亡したことが確認され次第、その個人に使用権があったファイルの使用はできなくなるようになります。
お葬式で、故人の好きだった曲を、形見のPCや携帯音楽プレイヤーから流そうとしたら、
「警告:不正なコンテンツ使用に該当します」なんて警告画面が出るようになったりして。
あるいは、JASRACが葬式の後にいきなり料金請求に来たりして(w。
 
 もうひとつ、使用者を「特定のひとり」に限定して登録する形のライセンスと
バイオメトリクス認証機能がセットになると、遺産相続ということではややこしいことが起こりそうです。
 PCは「パーソナルコンピューター」の略なのですが、PCの特定個人利用者が死んだ場合、
そのPCの中に入ったソフトウェアをどう資産鑑定するのでしょうか?
ライセンス的に使えないなら0円なのか、それとも市価を考慮して有償とするのか。
 プロが使う特定用途向けのソフトウェアでは1個人へのライセンスで十万円近くとかするものもごろごろありますが、
しかし「使うことができないソフトはただHDD容量を食うだけのゴミデータ」同然です。
大量のソフトやデジタルデータが入ったPCを税務署などはどう鑑定するのでしょうか?
 また、親のPCを使って日記などを書いていた子どもなんかは、
親が死んだ後にPCに、そしてPCの内部ファイルにアクセスする権利が無くなる可能性が出てきます。

 あと、故人の持っていたPCのHDDなんかに時価数億円のwarezソフトが入っていたことが当局にばれたりすると、
やっぱり故人の遺族に対してコンテンツの不正使用料金請求はいくのでしょうか?
いきなり高額の訴訟を起こされたりしたら遺族の方がひっくり返ること間違いなし。
 
 ところで、生体バイオメトリクス認証とファイルの暗号化がセットになっている場合、
その故人が持っていたデータのサルベージ(復号化)は非常に困難になるような気がします。
データは無くなりませんが、死蔵されることになり、その仮死状態?のままメディアの寿命を待つか、
データ領域のフォーマットで消去されるか、メディアの廃棄処分を待つことになります。
 このような形で、情報だけが仮死化できるようになることは、何か面白いことを産みそうな予感もします。