ジェンダーフリーへのバックラッシュについて。

http://www.medical-tribune.co.jp/ss/2004-2/ss0402-2.htm
from online magazine "Sexual Science"
 
 大沢真理さんの
『企業中心社会を超えて―現代日本を「ジェンダー」で読む』
ISBN:4788793245
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788793245/
を読んでみて解ったのですが...
 1990年代前半までの「日本的な雇用体制」の元で"自明"とされていた
男女の年齢別雇用形態や賃金形態の格差が維持されることで
利益を得る(あるいはかろうじて企業経営が成り立つ)会社組織が、
多くの大企業、そして田舎の中小(下請け)企業(特に製造業)には存在していたことが
この本を読むと明らかにされます。
 これらの会社にとって、ジェンダーフリー教育や、
ジェンダーフリーに基づく雇用政策や年金や税金や保険などなどの政策は
道徳や宗教や文化の問題としてではなく、"お金"の問題として効いてきます。
その影響が短期的に来るのか、中長期的に来るのかの違いはありますが。
 
 ジェンダーフリーの流れへのバックラッシュは、
道徳や宗教や文化の面での流れだけでなく、その背後にまじまじと存在する
家父長制に支えられた雇用形成形態によって生じる"権益"を失わないようにしようとする
別の側面もあるのかもしれません。
 もっとも、ジェンダーフリーを叩く側は、そういう権益問題の子細を解っていても
このようなお金の問題を正面からつつかれると痛いので口には出さないでしょうし、
そんな構造に気が付きそうでも(覗き込むとそれはショッキングなので)
あえて知らなかったことにしているのかもしれませんし、
あるいはそんな権益のことなど知らずに、なんだかけしからんと反論しているのかもしれません。